26/7/15【サイエンスアーツ 4412】「Buddycom」は売上成長と利益拡大を両立するフェーズ 通期営業利益は第3Q時点でほぼ達成⇒上方修正
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スピーカー
代表取締役社長 平岡 竜太朗 氏
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提供
株式会社サイエンスアーツ
本決算でお伝えしたいこと
代表取締役社長 平岡 氏(以下、平岡):第3四半期の決算についてご説明します。
営業利益の業績予想を1.5億円から2.2億円へ大幅に上方修正しました。前期から黒字転換をしまして、売上成長と利益拡大を両立するフェーズにありますが、非常に良いニュースを出すことができて良かったと感じています。
2026年8月期第3四半期累計期間(前年比・当初計画比)
本決算の前年比と当初計画比についてです。
今期第3四半期の売上高は15.6億円で進捗率は75.6%、営業利益は1.4億円で進捗率99.4%という形になり、営業利益は当初の計画を第3四半期の時点でほぼ達成することができました。要因としては、医療・介護や公共の現場での採用が比較的進んでいるためです。
2026年8月期修正計画(当初計画比)
修正計画についてです。
売上高については、当初計画から2.9%増加の21.3億円としています。営業利益については、当初計画から46.5%増加の2.2億円としています。売上高の増加要因は、Buddycomにおいて公共向けに上位プランが好調であり、その結果粗利率が大きく改善したためです。また、アクセサリーにおいても、医療・介護業界では昨対比で約2倍の成長をし、大きく上振れた部分が営業利益の伸びの主な要因だと考えています。
Buddycomの先行指標
重要視するKPIについてです。
スライド左がARR(年間経常収益)です。前年同期比で29.9%の増加となっています。第4四半期は第3四半期以上の伸びを見込んでおり、通期目標を達成できる見通しです。特に注目して欲しいKPIは、月次解約率です。SaaS業界としては非常に低い月次解約率となっており、直近では0.46%となっています。第3四半期では中小企業の売上構成比率上昇にあわせて上昇傾向ではありますが、全体としては1%以下であり、極めて低位で推移しています。
Buddycomは公共インフラの基盤に
Buddycomが公共インフラとして利用された経緯についてです。
約3年前に災害対策用の専用の通信帯域があり、その際の実証アプリケーションとしてBuddycomが採用されました。実証期間中に能登半島地震が発生し、現地の消防、自衛隊、ボランティアセンターの方々にBuddycomを活用いただきました。実際に使用された方からは、Buddycomの多能性を高く評価いただいています。地震が起きて建物が倒壊すると、音声だけで状況を伝えるのが非常に難しくなりますが、Buddycomの映像配信機能を活用することで、詳しい状況を共有することができます。また、建物の場所を共有する際にはBuddycomの位置情報機能を活用することで、充実した情報共有が可能となります。そういった機能を評価いただき、他の自治体や消防庁でも実証実験をしていただいています。

その結果、今期の導入団体数は前年同期比で約2倍となり、多くの官公庁・自治体・消防に導入していただいています。まだ導入いただいていない自治体も多いため、今後さらに広げられるような活動を継続して進めます。
JVCケンウッドとIP無線機を共同開発
JVCケンウッド様と資本業務提携をさせていただいており、IP無線機を共同開発しています。JVCケンウッド様はハードウェアを作る力が強く、ハンディ型の非常に丈夫で信頼性が高い端末を作ることができ、その中に当社が作ったBuddycomのソフトウェアが入っています。今までのIP無線機は、基本的には声のコミュニケーションしかできませんでしたが、共同開発したIP無線機は、話した内容を全て記録することができ、それらを文字起こしすることができます。また、話した内容を他言語に翻訳する機能もあり、次世代型IP無線機と言えます。JVCケンウッドモデルは、2026年6月末より発売しており、非常に引き合いが強い状況です。
2030年8月期の数値目標(2023年11月開示)
スライドは2030年8月期の中長期目標です。売上高は50億円、営業利益は10億円を目指しており、直近2026年では約1年前倒しで計画を進めることができています。この数字に関しては、今後の事業拡大に関わるM&Aや海外進出、IP無線機事業は考慮していないため、確実に目標以上の数字を出すことを目指しています。
売上成長と利益拡大を両立した要因
スライドは当社のビジネスモデルです。
売上成長と利益拡大を両立することができた要因についてご説明します。Buddycomはストック型の収益となっています。ポイントの一つ目は、前年度に黒字転換し、現時点で損益分岐点を超えているため、今後はさらなる売上拡大と利益創出のフェーズに入ります。ポイントの二つ目は、当社のサービスは全て代理店を通して販売しています。スマートフォンの4大キャリアといった非常に強力な代理店があり、そこから全国のお客様に販売いただいているため、さらなる売上の拡大が見込めます。また、当社は少ない社員数で販売することができるため、今後も利益率は継続的に向上していくと考えています。ポイントの三つ目は、アクセサリーの共同開発が非常に多いため、アクセサリーの粗利率が向上しています。
Buddycomは現場AIインフラへ
AIの誕生により、様々なものがAIによって変化していますが、当社もAIを活用することで、Buddycomのサービス向上に大きく寄与すると重要視しています。Buddycomを活用いただいているお客様からは、Buddycomがないと仕事ができないと言っていただいていており、現場の方たちにとってのインフラになれているのではないかと考えています。今後はただのインフラではなく、AIインフラを目指していきたいと思っています。現場の人たちがスマートフォンやパソコンを出して、AIを使うのは困難です。現場の人たちは音声を主体にコミュニケーションを取っていますので、当社がAIインフラとなることで音声でAIにアクセスできるようにすることを実現していきます。現在は紙に書いて作成している日報や業務報告書を話すだけで作成することができる世の中にしたり、危険な音をBuddycomが感知して現場の方に教えることで、より現場の安全性を高めるといったことが実現できるのではないかと考えています。お客様の環境でPoC(概念実証)という形で進めていますが、今後は当社の成長の大きなファクターとなると考えています。それと同時に、まだまだBuddycomを活用してもらえる業界・業種は多くあると考えているため、提携形態を広げる活動を継続してまいります。
あらゆる業界を支えるBuddycom
スライド左側がスマートフォンをメインに使っていただいている業界です。小売、運輸、医療・介護、宿泊・飲食は当社サービスが非常に強い業界だと感じています。しかし、建築・土木や警備の業界では、そもそもスマートフォンをあまり使わない、あるいはスマートフォンはすぐに壊れてしまうから使えないというお客様が非常に多いです。そういったお客様向けに、今後はIP無線機をデリバリーしていこうと考えています。それ以外にも、製造業や電気・ガスの業界はセキュリティ性を求めており、クラウドサービスを使うことができないというお客様も実際にいます。そういった業界に対して、オンプレミス版(自社施設内設置・運用)のBuddycomを作ってデリバリーしていきます。今後は今まで以上に幅広い業界でBuddycomを使っていただけるように進めています。
あらゆる現場を支えるBuddycom
Buddycomはau様のスターリンクダイレクトに対応します。スマホの電波が通じない場所ではBuddycomも活用することができませんでしたが、スターリンクダイレクトに対応することで、空が見えればスマホでBuddycomを利用することができます。文字でのチャットのやり取りだけではなく、音声のやり取りがスターリンクダイレクトでも実現できるという点が重要なポイントになっています。
社内だけでなく、お客様ともつなげるBuddycom
今までのBuddycomは、基本的には現場の方に従業員同士の会話で使っていただいていましたが、今後は店舗や駅に来るお客様と従業員のコミュニケーションをサポートするために、遠隔接客市場へ参入します。スライド右上の写真は、東京メトロ様で使っていただいている遠隔案内端末です。東京メトロ様には多くの改札があり、全ての改札に駅員を常時配置することはできません。そのため、交通ICカードで改札を通ることができない等のトラブル発生時に、遠隔案内端末を使うことで遠隔で駅員と会話することが可能となり、トラブルへの対応を実現しています。現在は東京メトロ様で活用いただいていますが、それ以外の各種交通機関の駅、店舗、空港、ホテルといった様々な市場があるため、皆さんが利用される身近なサービスにBuddycomがあるという世の中を実現できるのではないかと考えています。
AIに関する取り組み状況
現在、販売代理店とAIソリューションを提供しています。ソフトバンク様とは一昨年からAIについての協業をしています。2026年7月からは、リコージャパン様と「Buddycom for RICHO」という形で一緒にAIを含めたサービスを展開していくために協業をしています。また、楽天モバイル様とも同様に、今年中に段階的にAIソリューションのセット販売を進めています。

当社はこれまでもAI活用の取り組みについて発表しています。一つ目はカメラとAIとBuddycomをつなげる取り組みで、マルハン様ではお客様の来店時に、VIPのお客様を顔認識で判別して対応するために導入されています。二つ目は社内マニュアルと生成AIとBuddycomをつなげる取り組みで、京王電鉄様では膨大なマニュアルを確認するために、AIにマニュアルの内容を読み込ませて、Buddycomに話しかけることでマニュアルの確認を実現しています。これ以外にもAIを活用してより便利になるだけではなく、インフラのお客様にも使っていただくことで、事故や災害の抑止や被害の最小化を目指してまいります。
中長期的にはグローバル展開を目指す
日本で磨いたBuddycomを世界に展開することを目指しています。現在はJVCケンウッド様と北米への展開を進めていますが、それ以外にもアジアや中東への展開も同時に進めていこうと考えています。
質疑応答
質問①:計画に対する進捗について、主な要因はどのあたりにあったのでしょうか。
平岡:上方修正の主な要因は二つあります。一つ目は公共向けのお客様への導入が進んでおり、なおかつ公共向けの上位プランが順調に伸びているためです。上位プランであるため、粗利率が改善されています。二つ目はアクセサリーが医療・介護業界で非常に伸びており、アクセサリーの売上は昨対比で約2倍となっている点が主な要因と考えています。
質問②:下期に向けて売上、利益面で注目すべきポイントはどこでしょうか。
平岡:今は利益を出していくフェーズに入っているので、今期大きく伸長した営業利益に注目していただきたいです。また、KPIの中ではARRに注目していただきたいと思っています。
質問③:企業価値を株価に反映してもらうために力を入れたいことは何でしょうか。
平岡:株価については、私たちも悩んでいるところではありますが、設定した計画値を継続的に達成していくことが大切だと考えています。IRセミナーや個人投資家の皆様との接点の中で、会社に対する信頼を地道に積み重ねてまいります。
質問④:黒字転換を達成しましたが、今後利益を維持するために一番大切だと考えていることは何でしょうか。
平岡:アクセサリーは買い替え需要があるため、ライセンスが伸びればアクセサリーも伸びる構造になっています。そのため、一番重要なのは月次解約率を低い数字に留めることだと考えており、それができていれば売上と利益は達成できると考えています。現状を維持するというよりも伸ばしていきたいので、未来に対する必要な投資を行いながら、良いバランスを保って進めていきたいと考えています。
質問⑤:解約率の低さについて要因としてあげるとしたらどんな要因がありますか。
平岡:エンタープライズのお客様が多いということが低い解約率につながっていると考えています。また、商品の特性も大きく影響していると考えています。仕事に必要のないサービスはすぐに解約されますが、当社はお客様にとって必要不可欠なサービスを提供しているので、低い解約率を実現することができているのだと思います。
金融アナリスト 三井 智映子(以下、三井):必要不可欠なツールということは、引き続き強い状態が続きそうでしょうか?
平岡:そうですね。それに加えて、さらに製品を進化させていきたいと思っています。
質問⑥:競合他社を教えてください。
平岡:海外にベンチマークしている会社があります。IP無線機市場においては、モトローラ・ソリューション様です。アメリカで圧倒的なシェアNo.1の会社ですので、ベンチマークとしながら事業を進めています。他にもいくつか競合他社は存在しますが、当社は5年連続国内シェアNo.1であり、高い機能性が評価されています。また、当社が提供するのはコミュニケーションサービスなので、どんな時でも絶対に繋がることを最も大切にして注力しています。圧倒的なサービスの安定性において、競合他社と比較して高く評価いただいています。
三井:24時間365日ということですが、講演中にもおっしゃっていたように、さらにどこでも使えるようにしていくということにつながるのでしょうか。
平岡:そうですね。日本で圏外であった場所はもちろん、今後は使用可能な現場をさらに拡大していきたいと考えています。
質問⑦:IP無線機の海外展開の状況をお聞きしたいです。JVCケンウッドと提携して開発した製品の展開が始まっているかと思いますが、進捗手応えはいかがでしょうか。
平岡:共同開発をしたIP無線機は、2026年6月末にJVCケンウッド様から販売を開始しました。非常に引き合いが多いなと感じており、第4四半期にはある程度の数字が出せると見通しています。海外進出については一朝一夕でなせるものではございませんので、どこで、どのような販売をしていくのかについては、JVCケンウッド様と協議をしながら、引き続き進めさせてまいります。
質問⑧:北米公共安全系からの引き合いはあるのでしょうか。また、JVCケンウッドモデルとBuddycomモデルの違いは何でしょうか。機能面やサイエンスアーツとしての収益性の違いを伺いたいです。
平岡:北米の公共安全系からの引き合いに関しては、一番行きたいところではありますが、難易度も非常に高いところではあると考えています。まずは民間から攻めていければと考えています。JVCケンウッドモデルとBuddycomモデルの違いに関しては、基本的には同じだと思ってください。しかし、商流が異なります。JVCケンウッド様は日本でも古くから無線機のビジネスをされており、無線機のディーラーが多くいらっしゃいます。その方たちに販売してもらうものがJVCケンウッドモデルで、Buddycomモデルは4キャリアといった当社の提携販売店での販売を進めています。
質問⑨:海外では公共系や大企業に採用されているのか伺いたいです。
平岡:海外で使っていただいているケースはあります。JAL様では海外の空港でも活用されており、海外の空港と日本とのコミュニケーションツールとして、Buddycomを活用していただいています。しかし、海外の企業への販売はまだ行っておりません。日本と海外を比べると、圧倒的に海外の方が広いマーケットですので、中長期的な最重要戦略と認識して進めているところです。
三井:言える範囲で、見通しはどのような感じでしょうか。
平岡:少し先の話になってしまいますが、2030年には一定程度の収益貢献を目指しております。
三井:中長期投資を検討される方にとっては、海外展開という伸び代もあるよと考えていけばよろしいでしょうか。
平岡:そうですね。そのように認識いただければと思います。
質問⑩:テキスト化・翻訳などでいくつか特許を取られているかと思いますが、他社に対する参入障壁となっているのでしょうか。
平岡:テキスト化・翻訳、ライブキャスト、Buddycomベルに関する特許を取得しています。テキスト化・翻訳やライブキャストは、Buddycomの基礎的な付加価値の部分なので、日本だけではなく、米国でも特許を取得しています。また、似たような機能についても、海外では圧倒的に当社製品に優位性があると感じているため、早めに特許取得を進めていくことが重要だと考えています。
質問⑪:過酷な現場で使用することが多いかと思うのですが、継続して使用するために修理保障はありますか。
平岡:アクセサリーについては1年保証をつけています。現場では、コンクリートに落とすといったケースがあるため、どうしても故障は多いです。そのため、当社では様々なメニューを用意しており、できるだけ早く対応できるように窓口を作って、提供しています。
質問⑫:生成AI音声認識、翻訳、映像連携、位置情報など、今後の機能拡張について注目点を教えてください。また採用や開発投資など成長投資、利益と成長のバランスをどのように考えていますか。
平岡:今後の拡張機能の一番のポイントは、AIだと考えています。全てをAIナイズするという形になると思っており、Buddycomの機能が一段階アップグレードすることを目指していきたいと考えています。売上高の成長率の範囲内で先行投資を実施し、成長投資と利益の按分は、バランスを見ながら今期と同様に、両立させながら進めていきます。
質問⑬:今回の決算について会社側として、特に評価しているポイントを教えてください。
平岡:営業利益の上方修正(1.5億円→2.2億円)を行った点です。その要因は、今まで開拓を進めてきた業界が利益を出せるところまで成長してきたことで、会社が一番評価しているポイントです。
質問⑭:社長が思う今後のビジョンを教えてください。
平岡:どうやってAIインフラになっていくかが、非常に重要なところだと思っています。現場の人はやらなければいけないことが非常に多いです。今後は人も減っていくため、現場に求められることはたくさんあります。その中でAIをうまく活用することがポイントとなってくるため、BuddycomにAIを組み込んで、現場の方にAIの機能を提供することで、どれだけお客様の役に立てるかが一番重要だと考えています。
質問⑮:ARR(年間経常収益)は、サブスクリプション型サービスのBuddycomには重要な部分かと思いますが、通期目標までギャップが大きいですが、達成できるのでしょうか。
平岡:成長率が鈍化していて、目標との幅に不安を抱くかもしれませんが、第4四半期に大口案件がまとまってきているので、ARRの通期目標は達成見込みと捉えてください。
質問⑯:2030年の目標50億円の達成に向けて、今後特に注力する取り組みを知りたいです。
平岡:IP無線機ビジネスやAIが今後の成長を圧倒的に高めていく上で、重要な要素になると考えてます。
質問⑰:新中期経営計画はいつ出るのでしょうか。
平岡:今の中期経営計画を出したのは2023年なので、情報をアップデートした上で、そろそろ新しく出すタイミングが来てるのではないかと考えています。
社長のメッセージ
黒字転換をし、営業利益の上方修正を出すことができて非常に良かったと考えています。今後も売上は成長させていきますし、それに伴い、利益も成長させていきます。今後も成長投資をしながら、このような良い数字をさらに出していければと考えています。AIが今後の成長において一番大事だと考えており、「サイエンスアーツはAIインフラを提供している会社」と言われるような会社になれるように頑張っていきますので、今後も応援いただければと思います。