24/6/8【ガイアックス】12月期第1Qは前期比27%増収と好発進! 日本初の共創型プロジェクト支援「web3/DAO事業」の行方にも期待大

  • スピーカー
    代表執行役社長 上田 祐司 氏
  • 提供
    株式会社ガイアックス
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講演のポイント

はじめに

上田 祐司氏(以下、上田)最初に当社のミッションと特徴/強みについて、その後注力している成長領域である3つの事業について、最後に中期経営方針についてご説明します。

1.会社紹介:GAIAX MISSION

当社が大切にしてることは、「人と人をつなげる」ということです。「人と人をつなげる」と言っても、知り合いと知り合いがつながればいいというわけではなく、当社はインターネットの会社ですので、ネットを通じて赤の他人同士の頭の中がつながるような社会を作りたいと考えています。

 

具体的な事業分野は、一般的にソーシャルメディアやシェアリングエコノミー、DAOと呼ばれるようなカテゴリーですが、根本は「人と人をつなげる」というミッションと同じです。

 

 

他人のことが分かるようになってくると、社会全体であたかも1つの家族のように他人を思いやることが行われるようになるのではないかと考えています。ソーシャルメディアも同じだと思っています。これまでソーシャルメディアがない社会では、例えば遠い場所で震災が起こった際、現地の生の声を聞くことは難しかったです。しかし、今はソーシャルメディアを通じてつながることができます。そういった社会を目指しています。

ソーシャルメディア活用支援事業

そのような観点から、創業以来ソーシャルメディアを続けています。これまで10年以上サービスを提供しており、1,000社以上の企業を支援し、そのうちの600社以上においては、当社が代わりにソーシャルメディアを運用してサービスを提供しています。

 

 

「ソーシャルメディアを運用しなければならないことは分かるが、難しい」「変なことを呟いて炎上するの嫌だ」「自社でソーシャルメディアを運用する自信はない」といった際に、1番最初にお声がけをいただくのが長年ソーシャルメディアを行っている当社です。おかげさまでたくさんのサービスラインナップを用意して、多くの企業のソーシャルメディア活用を支援させていただいています。

 

SNS時代には全ての施策にSNSは関係する

当社からすると幸いなことに、ソーシャルメディアは年々、一般消費者の情報ソースとして重要度が上がってきています。しかも、テレビやポスターといった施策と連動しながら、ソーシャルメディアも活用するという行動パターンが企業の中で増えています。当社もこれまではソーシャルメディアの運用だけを行うことが多かったですが、最近では他の媒体と連携しながらサービスを提供することが増えています。

GAIAX PHILOSOPHY

「人と人をつなげる」ことが1つ目の当社が大切にしてることで、2つ目に大切していることは「使命で動く」ことです。当社の事業分野は新しい分野です。だからこそ「自分自身で一生懸命勉強してこんなサービスを作りたい」といった気持ちを大切にしなければなりません。会社の中でやるべきことを管理され、結果を出すようマネジメントされるのではなく、これからの社会では一人ひとりが使命を感じて自ら動くことが必要となります。

GAIAX BUSINESS MODEL

結果的に、20代の成長環境ランキング(インターネット業界)では、業界1位となりました。

 

 

他にも「ガイアックスは働く環境として良いのではないか」と様々な賞をいただいています。

事業輩出

当社に入社し、卒業した人の6割が起業しています。

 

 

当社としては、社内で活躍してくれた人が退職するのは非常に残念ですが、優秀な人には出資をさせていただいています。会社によっては、退職時に会社の方と退職する方がいい関係ではないケースがあるかと思いますが、当社は「それも人生プラン」と受け入れていますし、優秀な人には”応援をする”という意味で出資をさせていただいています。

 

ベンチャーキャピタルという仕事が世の中にはありますが、私はその仕事を尊敬しています。何度か話を聞くだけで出資を決めるなんて、本当に大丈夫なのかと思ってしまいます。それに比べて、当社は数年間一緒に働いて、その人は信用ができて仕事ができる人だという確信があった上で出資をしていますので、おそらく通常のベンチャーキャピタルのヒット率とは全然違うのではないかと思います。実際に40社が設立され、そのうち4社は当社が出資した上で上場しています。

社内から連続的に起業家を輩出

このような形で投資をし、その会社が上場することでキャピタルゲインを得ることも1つの事業だと認識して行っています。どのようなチーム、経営陣、マーケットであれば上場まで行くのかは、肌感で掴んできました。しかし、上場したものの当社の業績に与えるインパクトが弱かったり、投資比率が数%であったりと反省すべき点もありました。その反省を受けてここ数年は、投資先に数百億円を超える規模になっていただくようにして、当社も数%ではなく数十%の投資をさせていただく形に切り替えています。

 

約15年前に投資を始めて4社が上場し、当時はなかなか順調にやっているのではないかと思っていたのですが、上場するだけではいけないと分かり、現在ではそのような方針を執っています。

 

 

結果的には、当社は自分たちで事業を行う「事業会社」でもあり、主に卒業生を中心とした企業に投資をする「投資会社」でもあるとご理解いただければと思います。

 

 

「事業会社」としては、当然日々の売上が上がり、それに対して利益が出てくる形です。一方、「投資会社」としては投資をしても減損するため、最初は費用がかさみます。その上で、決算に影響はありません。投資をした会社が上場した後、当社が株式を売って初めてキャピタルゲインが入ってきます。どちらかというと、「投資会社」はキャピタルゲインのビジネスモデルですので、当社の年次の決算には反映しづらい構造になっています。

カーブアウト機能を活用した事業の成長加速

当社を辞めた卒業生が新しく自分で会社を作るというケースだけではなく、当社にある事業部の事業部長等から「事業が軌道に乗ったらカーブアウト(法人化)したい」という申し出を受けるケースもあります。その際、当社はケースバイケースでカーブアウトも良しと判断しています。当社が100%の事業部で続けていた方が儲かるのか、それとも当社の持ち株比率が減ったとしても、代わりに投資をしてくださる他の提携企業が入った方がより成長が加速するのかといったことを考え、パイの比率は小さくなっても全体がさらに大きくなるという時には、カーブアウトを良しと判断しています。

注目されている投資先

先ほど挙げた上場した4社のうち、2社がカーブアウトをして上場した会社で、2社が退職後に起業をして上場した会社です。現在、当社が注力して投資をしていて上場していない会社の1社が「TRUSTDOCK」で、カーブアウトをした組です。もう1社の「ADDress」は当社を退職して起業をした組です。このように最近は注目をいただいている会社に投資をしています。

 

 

「TRUSTDOCK」はeKYCというオンライン上の本人確認サービスを行っています。現在、250社以上に導入されている会社で、非常に成長しています。

 

 

「ADDress」は多拠点居住を支援するサービスで、月額約8万円で全国300ヵ所以上(海外9ヵ所)の家に泊まることができるサービスです。

 

 

このような投資先をサポートしながら、最終的にはキャピタルゲインを得ていく形でビジネスを進めています。

2.注力事業紹介:注力している3領域

各事業が特に注力している3つの事業領域について、順番にご説明します。1つ目がSNS、2つ目が起業支援、3つ目がDAO/web3についてです。

注力領域①:SNSを軸としたマーケティング支援

SNSについてです。

セグメントの売上は、毎年少し停滞気味でしたが、ここ最近は売上の伸びが増えてきました。

 

 

その理由は、広告等の媒体とソーシャルメディアを絡める企業が増えたことで、当社への発注金額が増えたためです。データ分析/クリエイティブ/プランニングを総合的にコンサルティングのような形で提供しています。

 

 

最近力を入れているのは、縦型動画です。

これまでは、企業としてソーシャルメディアを活用しようとすると、どうしてもテキストで「当社の新しく提供した商品は~です」等と、XやFacebookで発信することが多かったですが、最近は写真や縦型動画で発信するやり方に変化しています。

 

当社もその変化にフォーカスした会社を外部から買い、社内の事業部と統合することで別会社「株式会社CREAVE」を始動させ、この分野を強化しています。こちらのビジネスの伸びが最近増えてきています。

 

 

「株式会社CREAVE」の事業についてです。

 

 

最近では、パナソニック社のロボット「NICOBO」を題材にしたショートドラマを作成して、認知を広めるお手伝いをさせていただきました。当社の傘下には縦型動画等に秀でたクリエイターが数万人単位で存在しており、そういったクリエイターを起用して動画を作っていますが、そのようなマーケティングをすることができる会社はなかなか少ないのではないかと思います。今後もこれまで培ってきた経験を活かしながら、この分野においては安定的に年間2桁成長を目指していきたいと思っています。

注力領域②:起業支援

2つ目の起業支援についてです。

皆さんもニュースをご覧になる中で、「日本全体で起業家を増やそう」「アントレプレナーシップを伸ばそう」といった言葉をよく目にするかと思います。岸田政権では「スタートアップ育成5か年計画 」が始まり、スタートアップ育成関連の予算の合計額は約1兆円に達しました。、日本中が「もっと企業を作っていかないと国が傾いてしまう」「企業を作ることで日本を盛り上げていこう」という気運になっています。

 

 

そのような中で、当社は3つの分野に取り組んでいます。

 

1つ目は起業家教育事業で、小学生から大学生までの学生さんに向けた起業家の授業を提供しています。

 

2つ目はインキュベーション事業で、大学生から社会人を対象に、起業に関する相談を受け付けて、新規事業創出プログラムや個別メンタリングを提供しています。

 

3つ目は先ほどからご説明している投資事業です。

 

今回は特に1つ目と2つ目についてご説明します。当社も手金で行っているわけではありません。両方とも、国/地方自治体/学校法人/企業等からお金をいただきながら取り組んでいます。

 

 

中学校・高校のアントレプレナーシップ教育「起業ゼミ」は、現在累計1万名を超える生徒が参加する規模になっています。なかなか学校には起業について語れる人がいません。それに比べて、当社の卒業生は基本的に起業をしていて、そのうち7社が上場企業(うち4社に当社は投資)になっています。上場する前の会社も多く存在し、卒業生ネットワークから生の声を聞くことができるため、学校現場からは「そのあたりの専門家にお願いするよりも、ガイアックスさんに頼んだ方がより生徒のモチベーションも上がり、起業とはどういうものなのかを感じることができます」と好評いただき、こちらの案件が急激に増えています。

 

 

官公庁・自治体・教育機関等と行っているスタートアップ支援も同じような理由です。

 

 

北海道/福岡/東京/山口といった複数の地域から受注をいただいており、テレビにも取り上げられています。

 

 

これまで地方自治体が起業家を支援する取り組みを民間に発注する際には、税理士や中小企業診断士、地方銀行に専門家を呼んで、会社を作るにはどうすればよいかという話をしていただいていました。今回の岸田政権が発表しているのは、「上場を目指すようなしっかりとした会社を作っていこう」「地方自治体も含めて日本として盛り上げていこう」ということなので、スタートアップ支援の案件を当社に切り替えてもらえるように、当社は日々営業活動を行っています。その結果、「ガイアックスは面白いコンテンツを提供する」「集まってくる起業家の質もすごく上がっている」と、受注が増えている状態です。

 

スタートして2年目ですが、主要な都道府県は当社が契約させていただいています。当たり前ですが、当社も主要な都市から攻めており、複数年契約を獲得しつつ、より多くの都市や地方銀行、企業から受注をいただきたいと考えています。

 

 

東京都からはスタートアップ支援展開事業として、受注をいただいています。

注力領域③:web3/DAO

最後に3つ目のweb3/DAOについてです。

この分野は、日本政府をはじめとして非常に注目を集めている分野です。海外においてweb3のマーケットが急拡大していることを踏まえ、日本も競争力を持たせなければならないと、日本政府もweb3のビジネスを立ち上げるための法整備を急いで行っています。

 

 

当社がweb3の分野の中でも最も力を入れているのが、「自律分散型組織」というものです。

 

 

「自律分散型組織」とは、中央集権的な組織(リーダーが必要な組織)とは異なり、中央集権的な管理者がいなくても回る組織のことを言います。この組織は限られた人だけで行うのではなく、誰でも参加できるような特徴があり、こういった組織をDAOと言います。

 

20年前に、日本に初めてソーシャルメディアが出てきた時、皆さんはどのような印象を持ちましたか?「編集長がいない」「上部に来る記事は編集長が決めるのではなく、みんなが適当に見た視聴率の高いものから並ぶ」「ソーシャルメディアは限られた人が書くのではなく、誰が書いてもいい」そのような信用の置けないものが普及するわけないじゃないかと、おそらく多くの方がそのように感じられたのではないかと思います。

 

DAOは、いわばその組織版です。組織のリーダーはいません。人が集まってきてリーダー無しで動き、物事は選挙で決定します。そのようなことが出来るのかと思われるかもしれませんが、今のテクノロジーを持ってすれば簡単です。

 

 

例えば、政治も私たち国民が直接政治に絡むのではなく、議員を選定してその方々に行ってもらっています。しかし、今時はテレビのリモコンに青赤黄緑とボタンが存在し、全国民の気持ちを瞬時に集めることが可能であるため、何か悩んだことあればすぐに国民に問えばいいだけの話です。

 

これを株式会社に例えると、取締役会の議案にあがってきたものをすぐに株主総会にかけるような感じです。「株主の意向を把握するのに2週間の期間が必要」「紙で行わなければいけない」等、会社法的な株主総会はそうかもしれませんが、日頃の意思決定であればチャットツールで皆さんに問いかけて、24時間以内に投票してもらうこともできます。どのようなDAOも80%は投票せず、10%か20%しか投票しませんが、すぐに結果が出るため物事を決めることができます。そのやり取りは全て公開されており、誰でも参加することができます。こういった組織が本当に動き始めています。

 

 

当社はこのような形で、これまでにたくさんの事例に取り組んできました。おそらく国内でもここまでDAOに取り組み、研究開発をしている会社はなく、当社はトップランナーではないかと自負しています。

 

DAOが世の中に広まるかどうかが当社にとって重要なことであって、DAOという分野の中に敵がいるとは考えていません。

 

 

DAO型シェアハウスを約1年半前に行い、1年間運用してみたところ、非常にうまくいきました。

 

 

シェアハウスを経営している「巻組」という会社があり、その会社がシェアハウスの住人にハウスでのルール(リビングの利用時間や設備の使い方等)を説明します。新しく入居したい方が現れると「巻組」のスタッフがハウスを案内し、住人に紹介をします。これまでのシェアハウスの経営はこのような流れで行われていました。

 

そこで、当社は「巻組」にDAOのシステムを提供しました。シェアハウスの住人はトークン(例えると、株式のようなもの)を持っています。住人はシェアハウスの利用者でもあり、株主でもあるということです。そして、ハウスでのルールは「巻組」から提供せず、住人に投票で決めてもらいます。「巻組」からすると、ハウスのルールを決めるのはコストがかかり、文句を言われることもあるので、やりたいことではありませんでした。

 

設備に関しては、住人に年間100万円を渡し、その予算内で購入してもらいます。新しい住人が現れた際には、既に住んでいる住人がハウスを案内します。ハウスの掃除も住人が行い、掃除をすることで報酬としてトークン(株式のようなもの)がもらえるようにします。そうすることで、住人は喜んで働きます。

 

このような仕組みにすることで、「新しい住人が増える=人口密度が増えて狭くなる」ではなく、「シェアハウスの売上が上がる」という考え方となります。シェアハウスの売上が下がると、株主としては株式の価値が下がってしまうため、嫌な人でなければどんどん入居させていこうという流れになります。

 

これまで「巻組」は、シェアハウスに何度もスタッフを派遣していました。しかし、DAOのシェアハウスには、年間で2〜3回しか派遣していません。それにも関わらず、全ての話し合いがネット上のチャットツールで行われているので、他のシェアハウスよりもハウスの様子を掴むことができました。実は、チャットの内容はシェアハウスへの入居を検討している人も見ることができるため、事前にシェアハウスの雰囲気を知ることができます。結果的に、従来の計画に対して1.7倍の売上となり、満室が続くような形で売上を上げることができました。

 

 

神楽坂のシェアハウスということもあり家賃が高かったことから、赤字覚悟でスタートしましたが、利益率37.5%という数字を出すことができました。入居されている方が株式のようなものを持っているため、その方々に配る必要がありますが、トータルで手残り37.5%を出すことができ、非常に成果がありました。資金繰りについては、住人には最初にトークンを買ってもらっていることから、最初にお金が入ってくるため、非常に有利な結果になりました。DAOを導入することで、このような結果が実現しています。

 

 

今回、合同会社型DAOというものが法律で変わったため、それも導入しています。

 

 

このように、様々なシチュエーションでDAOは使えると思います。今時のコミュニケーションツールをフル活用すれば、管理者がいなくても実現できる世の中になりました。これをどんどん世の中に広めていきたいと思っています。

 

 

当社は様々なところで発表をしたり、相談を受けています。

 

 

2024年5月15日に新しい仕組みとして、歴史的建造物を世界中の人がトークンを持って運営していくというプロジェクトを発表しました。

 

 

DAOを運営するにあたって、独特のコミュニケーションが必要となるため、当社でソフトウェアを作って提供しています。ビジネスモデル的には一般的なSaaSビジネスで、月額料金で提供しています。

 

 

以上が注力している3領域の説明です。SNSを軸としたマーケティング支援/起業支援/DAOの分野に注力しています。

3.中期経営方針

最後に中期経営方針についてです。

2022年までは、投資における損益が非常にぶれていたため、損益が安定しませんでしたが、上場してきた株式(社内にある有価証券の種類)も増えてきたため、今後は安定的に黒字を出せると判断し、中期経営方針を発表しました。

 

 

ソーシャルメディアサービス事業に関しては、年成長率は10%以上、営業利益率は従来から20%程度となっているため、これを継続していきます。

 

インキュベーション事業(投資のビジネス)に関しては、コストコントロールと投資比率を維持しながら、タイミングを見て株式を売却することによって、キャピタルゲインを確定させていきます。結果的には、安定成長/黒字/継続的な配当を行っていくという経営方針としています。

 

 

現在、中期経営方針の2期目ですが、5年目の売上40億円/営業利益6億円に向けて、全社一丸となって頑張っているところです。

株主還元方針

また、株主への継続的な利益還元は、当然行っています。

 

 

大きくキャピタルゲインが発生した時には、臨時配当を出しています。2023年12月期の実績は、配当性向18.26%で利益が上振れたため、中間配当を出しました。

まとめ

以上が事業会社としての魅力、投資会社としての魅力、配当についての説明です。

4.質疑応答

質問:出資については、経営にも関与しますか。それとも純投資ですか。

 

上田原則としては、純投資です。純投資がどういう意味かと言うと、ガイアックスグループの事業分野としては見ていません。あくまでも、その会社が最大限の形になることを期待して出資しており、その上で支援は行っています。ガイアックスグループの事業分野とみなして、シナジーを出すために支援をするのではなく、単純に会社が上場したり、企業価値を増やすための支援を行っています。

 

最も重要かつ喜ばれている支援は、人材の提供です。当社には若手の優秀層が多く入社してくれていますが、そういった方を経営幹部としてご紹介(転職)していることが最も喜ばれています。伸び盛りの時期に競合できるかどうかは、優秀な人材が事業のリーダーレベルで配備されているかどうかが重要で、当社はそれを支援しています。

 

 

質問:名証から東証への鞍替えは視野に入っていますか。

 

上田特にそういった検討はしていません。まだ事業規模は小さいと思っていますので、まずは事業規模をもっと大きくすることが最優先だと考えています。

 

 

質問:DAOの課題や問題点は何でしょうか。

 

上田例えば、会社を1つ作った時に「社長が株式を100%持っている会社」と「社長は4~5割しか持っておらず、幹部陣が何割か持っていて、全従業員がいくつか株式を持っている全社」のどちらがうまくいくかというと、後者の方がうまくいくのではないかとお感じになるかと思います。

 

ベンチャー業界は競争が激しいため、間違いなく幹部陣に株式を渡した会社の方が強いです。DAOというのは、さらにお客さんにまで株式を渡します。お客さんも経営に参画するというのがDAOなのです。また、社長だけが経営情報を握っているよりも、社員にも経営情報を共有した方が強いに決まっています。DAOの場合は、お客さんにまで経営情報を全部流すので強いのです。

 

しかし、既存の会社がDAO化するかというとしません。どこの社長も自分が100%株式を持っている状態から、お客さんにまで株式を配り、社内の経営情報を全てお客さんに開示するかというとなかなかしません。そのため、新規で行うプロジェクトの創業者の方は、DAOを選んでくれるケースがありますが、既存の会社をひっくり返すというのは難しいと実感しており、当社もどちらかというと諦めています。新しいプロジェクトにDAOをねじ込んでいくことが、今当社が大切にしていることで、これが本当に悔しいですし、DAO事業の欠点だと感じています。

 

 

質問:DAOが普及することによって、企業への影響はありますか。

 

上田企業も会社の根本からDAOにするということは考えられませんし、当社もそれは無理だと思っています。当社が提案しているのは、「メディアの運営」「新卒採用プロジェクト」「社員向けの福利厚生」といった、特定のプロジェクトだけをDAO化することです。社員旅行や研修の場所決め等、そういった局所的な導入が進むのではないかと思っています。

 

 

質問:SNSマーケティング支援のトレンドは何ですか

 

上田媒体としては、テキストから画像もしくは縦型動画に変わってきています。また、インフルエンサーの活用も非常に多くなってきていますが、非常に有名な一握りYouTuberや芸能人を起用して影響を図るというよりかは、どちらかというと消費者に若干近いようなインフルエンサーを起用した方が効果があるのではないかというトレンドがあると思っています。当社もそういったトレンドや実際に効果が高いところに事業をずらしています。

 

 

質問:3領域の中で、特にこれから勢いを増していきそうなものは何ですか

 

 

上田改めて3領域についてご説明すると、「SNSを軸としたマーケティング支援」は安定的に成長させる位置付けです。正直、ソーシャルメディアのコンサルティングの立場では、国内においてトップレイヤーに位置しているので、ここを追い抜かれないように着々と売上を伸ばしていきます。

 

「起業支援」は国の後押しが大きく、急成長しました。今後は世の中の企業もアントレプレナーシップを伸ばそうとされたり、さらに新規事業を作ろうとされたりするかと思いますので、そういったところの支援に移していきたいなと思っています。

 

「DAO」が最もハイリスク・ハイリターンで、DAOにおいてはポジションは取っているつもりですが、DAOがシェアリングエコノミーやソーシャルメディアのように世の中に力強く普及するのか、あまり力強く普及しないのかによって変わってくるため、伸びた時には伸びると思っています。

 

 

質問:社内から起業家を輩出する理由、人材を獲得できる体制を教えてほしいです

 

 

上田当社は創業した時から一人ひとりのライフプランを作っていただいており、入社した方の今後の人生について聞いています。それを四半期ごとに小さく見直し、1年ごとにしっかり見直すということを全社で行っています。自分の人生の目標を聞かれることで、皆さん真剣に考え直します。「携わっている事業がさらに社会にインパクトを与えるように、引き続き頑張る」という人もいれば、「退職して実家の家業を継ぐことが大切だ」と退職する人もいらっしゃいます。中には、「自分で起業して上場企業を作る」と退職する人も出てきます。ともかく、その人の人生観に紐付いた形で行動を選んでもらい、その上で交渉させていただいています。それが起業家をどんどん生み出す理由だと思っています。

 

もう1つは、退職した人と当社の関係は非常に良好で、常に情報交換をしています。最近ですと、AIを事業に活かすための勉強会を行ったり、採用活動をする時も当社を退職した人に採用活動を手伝ってもらったりしています。学生の前で、「今はガイアックスを辞めて、自分で起業した会社を上場させました。ガイアックスを辞めたけれど、悪い会社ではなかったですよ。」といった話をしてもらっています。そのような中で、ガイアックスは自分の人生をしっかり見つめ直す機会がもらえて、自分の人生を100%過ごせる環境だと感じた人が集まってきてくれるというサイクルです。正直、退職されるのは辛いですが、当社は退職していくスピード以上に、優秀な人材をどんどん採用していくことを大切にしています。

 

 

質問:これからインターン等もありますが、高校生や大学生に向けて強調して伝えていることはありますか。

 

上田当社は高校や大学で授業をしているとお伝えしましたが、授業と言いつつ、聞いているだけの授業はだめだと思っています。私が想像していた以上に学生の元気がないと感じていて、それをどのようにして打破するのかというと、聞いているだけではなくグループでディスカッションをしたり、実際にチラシを作って配ってみたりして、小さいプロジェクトでもいいからやってみたりすることが大切で、そういったことをやればやるほど生き生きとして、目がキラキラしてくるのを感じています。学生には「実際の活動をどんどんしていきましょう」と伝えたいです。私も小学校4年生と中学校1年生の子供がいるのですが、2人とピザ屋ごっこをした時に2人はピザ屋の対応をしていて、非常にキラキラしていました。実体験をたくさん提供していくことが大切だと考えています。

 

本日はお時間をいただき、ありがとうございます。人と人をつなげることで世の中に思いやりがあったり、周りのことを思うことができたり、自分と人との境い目がなくなって幸せな社会になるのではないかと思っています。一人ひとりが輝ける社会を作っていくことを目指していますので、何卒応援いただけますと幸いです。

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