26/2/12【サークレイス】第3Qまでの減益も第4Qでカバー 中長期の成長に向けた取り組みも着実に進む
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スピーカー
代表取締役会長 兼 社長 佐藤 スコット 氏 取締役CFO 古川 光瑛 氏
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提供
サークレイス株式会社
今回のセミナーでお伝えしたいこと
古川 光瑛 氏(以下、古川):私からは決算についてお話しします。
エグゼクティブサマリー
強調してお伝えしたい点を3点にまとめました。
まずは、スライド上段の収益の源泉となる対応可能テクノロジーについてご説明します。当社は最新のITトレンドを踏まえ、成長が見込まれる領域への事業展開を積極的に推進しています。SalesforceやServiceNowなどを始めとする各プラットフォームのAIエージェントを活用した案件拡大を進めるとともに、Salesforce事業では急速な市場変化を踏まえ、カスタマーサクセス(保守運用/定着化)領域でのAI、データ活用を強化し、第3四半期までに期初計画には織り込んでいなかった事業構造改革に着手しました。
次に、スライド左下の売上高についてご説明します。売上高は32億200万円となり、前年同期比プラス18.5%と堅調に成長しています。通期の計画である46億円に対して、69.6%の進捗となっています。
最後に、スライド右下の営業利益についてご説明します。営業利益は1,100万円となりました。新規事業への投資の継続、本社移転に伴う一時的費用の影響などを受ける中でも、営業利益は黒字を確保しています。第4四半期に向けて収益性の改善を進めており、通期計画の達成を目指して進めてまいります。
2026年3月期第3四半期 連結決算ハイライト(累計期間)
決算ハイライトについてです。
売上高は32億200万円となり、前年同期比プラス18.5%の増加、進捗は69.6%で推移しています。営業利益は1,100万円と黒字を確保しています。先ほど申し上げた通り、新規事業や事業構造改革への投資を継続し、また第1四半期に計上した本社移転に伴う一時的費用の影響を受ける中でも黒字を確保しています。親会社株主に帰属する四半期純利益は400万円となり、投資や費用増を折り込みつつも、下期は収益性改善を進めてまいります。当社が注力している成長ドライバーは、お客様のSalesforceやServiceNow環境に蓄積されてきた業務データと、それらを活かしたAI活用の拡大です。Salesforce事業においては、急速な市場変化を踏まえて期初計画にはなかった事業構造改革に着手し、AI領域中心のビジネスへと転換を図っています。
社員数は379名となり、前四半期末比7名の増加となっています。継続した成長に向けて人材投資を続けてまいります。
損益計算書サマリー(累計期間)
損益計算書サマリーについてです。
売上高に関しては、AI&Data Innovation、SaaSサービス(AGAVE)ともに増収となっています。先ほど佐藤からも説明があった通り、Salesforce事業における新規開発領域は市場需要の減速等の影響で伸び悩みましたが、カスタマーサクセス(保守運用/定着化)の強化により追加の案件創出が拡大しています。ServiceNow事業およびSaaSサービス(AGAVE)は引き続き成長を継続しており、収益性が大きく改善しています。Global/AI事業は第3四半期までに先行投資を実施し、体制の構築が完了しており、第4四半期以降、収益および利益への貢献を見込んでいます。
業績推移(連結)
連結ベースでの業績推移についてです。
第3四半期の売上高は前年同期比プラス10.4%と増収となっています。Salesforce、ServiceNow、SaaSサービス(AGAVE)のいずれの事業も前年同期比で増収となっており、グループ全体における成長領域の拡大が継続しています。人材投資およびSalesforce事業の構造改革に伴う費用の増加を折り込んだ上でも、営業利益は第2四半期に引き続き、黒字を確保しています。
収益性(連結)
収益性についてです。
スライド下段のグラフは、左端に昨年度第3四半期までの営業利益と右端に今年の営業利益を並べており、間に変化点を5つの項目で表示しています。ServiceNow事業およびSaaSサービス(AGAVE)については収益性が大きく向上しており、ServiceNowは1億1,500万円、SaaSサービス(AGAVE)は4,600万円と、利益の増加に寄与しています。
一方で、今期は昨期にはなかった2025年4月の本社移転に伴う一時費用やSalesforce事業における構造改革投資、Global/AI事業への投資があり、これらを実施した中でも連結の営業利益は1,100万円と黒字を確保しています。特に、Salesforce事業においては新規開発の領域が市場需要の減速等の影響で伸び悩んでいましたが、カスタマーサクセスの強化により、第3四半期までに事業構造の再構築を完了しています。現場密着の課題解決を起点とし、第4四半期以降の営業パイプライン(受注見込み案件)件数が大きく増加しています。
また、今期新たに立ち上げたGlobal/AI事業においては、お客様の事業変革をAI活用により実現する体制の構築を第3四半期までに完了しており、第4四半期以降、収益への貢献を見込んでいます。
Salesforce事業
Salesforce事業についてです。
第3四半期単体でのSalesforce事業の売上高は7億500万円となり、前年同期比プラス1.0%の増収となりました。第3四半期までの累計では22億8,000万円となり、前年同期比プラス7.6%と増収しています。既存のお客様においてユーザー業務に関わるカスタマーサクセス(保守運用/定着化)領域でのAI活用およびデータ活用による業務改善の案件が拡大しています。Salesforceの運用高度化、開発効率化にかかるニーズの拡大を捉え、第2四半期に引き続き、周辺領域(DevOps/Copado)を活用したテストの自動化などへ提供範囲を拡大しています。付加価値と継続的な収益の強化を進めるとともに、第3四半期までに事業構造の再構築を完了しました。第4四半期以降の営業パイプライン(受注見込み案件)件数は増加しています。
ServiceNow事業
ServiceNow事業についてです。
ServiceNow事業の売上高は前年同期比プラス64.7%の増収、第3四半期までの累計でも前年同期比プラス94.3%と高い成長を継続しています。第3四半期においては、ServiceNowとAIを掛け合わせた案件を新規で3社から計3件受注しています。具体的には、ブラックボックス化した環境の可視化から提案の自動生成、プロジェクト管理領域でのAI活用の検証まで、内製化と運用の高度化を支援する取り組みを拡大しています。また、市場のニーズを捉えた「AMS:運用保守」の本格稼働に向け、提供体制を構築しています。ServiceNow事業は第3四半期より四半期ベースで黒字を実現しています。
SaaSサービス
SaaSサービス(AGAVE)についてです。
AGAVEの売上高は前年同期比プラス17.3%の増収となりました。海外給与計算サービスの導入拡大などにより、継続的に成長しています。AGAVEの契約ユーザーID数は前年同期比プラス9.9%と増加しています。特に、海外給与計算サービスはプラス53.9%と大きく増加しています。AGAVE User MeetUpなどの定期セミナーの開催とあわせて、新規顧客の開拓および契約継続率の向上に取り組んでまいります。
連結貸借対照表サマリー
連結貸借対照表のサマリーについてです。
自己資本比率は64.2%と高い水準を維持し、財務基盤は引き続き安定しています。
2026年3月期 業績予想
2026年3月期の業績予想計画についてです。
今期はSalesforceとServiceNow事業の拡大に加え、グループ内の連携を進めたことによるシナジー創出を通じて、売上高は前年比プラス20.9%に相当する46億円を計画しています。営業利益は前年比プラス71.9%の3億5,000万円を見込んでいます。中長期的な成長を見据えた投資を継続しつつ、営業利益率は7.6%を計画しています。いずれの数値に関しても、計画に変更はありません。
質疑応答
質問①:社内でのコーディングAIの使用状況を教えてください。
佐藤 スコット 氏(以下、佐藤):バイブコーディングは今非常に注目されており、当社も試しています。まだ常用しているというわけではありませんが、必ずこのような分野は広がってくると思うので、検証しながら強化していきます。
質問②:AI関連である御社の成長性について詳しく伺いたいです。
佐藤:AIは成長しており、非常に大きい市場となっていると思います。それが当社の事業にどのような影響を与えていくのかはまだ分かりません。しかし、当社としても全部署でAIを試しており、どのようにAIを活用して当社の仕事を変えていくかを毎日のように考えて、変化を起こしています。例えば、社内の間接部門への質問には全て規定が存在します。個人PCが壊れたらIT部署に対応してもらうといった規定があり、当社ではMicrosoft Teamsでパーソナルアシスタントというものを作っており、近く運用を予定しています。例えば、パーソナルアシスタントに「有給はどうやって取るのか」と質問すると、AIが関連データを分析して答えてくれるといったもので、全てTeams上でできるようなものを社内で作っています。
皆さんはネットで買い物をする時にチャットで商品に関する質問などをするかと思いますが、チャットボットの裏がAIとなり、どのような質問でも答えられる状況は今の技術でもできるため、さまざまな会社が検討していますし、当社も社内で試して外に出していくことは多いと思います。
社内で面白い事例があります。当社では、プロジェクトチームのメンバーが集まって案件レビューのようなことをやっています。今までは議事録を書いて、プロジェクトの進捗を確認して上司に報告するということをやっていました。現在は議事録は全て録音をもとにAIが書き、AIがプロジェクトの進捗を判断してくれるようなツールを社内で作っています。判断業務もAIにしてもらうことで、人の感情をなくすようなプロジェクトを進めています。プロジェクトの進捗管理は非常に重要で、人間だとトラブルに気付けないことも起こるため、AIはさまざまなところで使っていけると思います。だからと言って、人の仕事が減っていくわけではなく、人の仕事の質が上がっていくような考え方でいると活用の幅は広がると思うので、AIの活用を広げていきたいと思っています。
質問③:アメリカにおいてアンソロピックのAI発表があり、ビジネスモデルが懸念されていますが、その影響は日本に来ますか。
佐藤:影響は一定程度あると思います。しかし、SaaSが全てなくなってAIになるという極端なところまではいかないと思っています。この発表を受けて記事などでは結構騒ぎになっていますが、あれは少し行き過ぎていると思います。過去には、SAPやオラクルはもう終わりだと言われていましたが、現在はこれまでよりも強い会社になっているため、SaaSがなくなるというわけではなく、変化するターニングポイントの時期だと思っています。
質問④:Salesforce事業のコンサル案件は減ってきているとのことですが、カスタマーサクセスでの追加案件ではトップラインの成長に貢献できるのでしょうか。コンサル案件の方が売上高、利益ともに大きい印象があります。
佐藤:コンサルティング事業が今変わってきています。今までのコンサル事業は、新規のお客様にSalesforceを初めて導入していくことをコンサルティング事業としていましたが、そういった市場は明らかに減ってきており、新規のお客様は既にSalesforceを導入しているところが多いため、需要が減っているというのは事実です。一方で、カスタマーサクセスはお客様の現場で働いているため、AIと繋ぎやすいものはカスタマーサクセスの方が近いです。現場で起きているものをAI化していくという話が多く出てきており、10年前に作ったSalesforceをアップグレードするという案件が増えてきています。今までのコンサルティングの新規導入が減ってきていることは事実ですが、新たなコンサルティングまたはカスタマーサクセスを連携したAI関連のSalesforce事業はものすごく拡大しているため、そちらが今よりももっと大きくなる可能性は十分あり得ます。
質問⑤:改めて、減益の要因をお教えください。
佐藤:四半期だけを見ると不安を与えてしまい、申し訳ありません。今の当社の事業を分析して見ると、Salesforce事業、ServiceNow事業、SaaSサービス(AGAVE)、この3つが大きな柱となっています。ServiceNow事業とSaaSサービス(AGAVE)事業は好調で、利益もしっかり出る体制になっています。Salesforce事業が今年の大きなポイントだと思っており、特に第1四半期の時点で感じたのが、新しくSalesforceを導入するお客様が減ってきました。しかし、Salesforceを使っている会社は非常に多いので、第1四半期の終わり頃には、そちらのマーケットでお手伝いできるようなサービスに切り替えていきました。既にSalesforceを使っているお客様に、新たな使い方を提案する戦略に変えたのが第1四半期の終わりで、その時点で第3四半期の数字が弱くなることはある程度読めており、その結果として第3四半期の数字が今回の状況になりました。戦略変更によって、今後のSalesforce事業のパイプラインは非常に強くなっているため、戦略変更の課題だと認識していただければと思います。
質問⑥:第4四半期偏重について詳しく伺いたいです。
佐藤:通期で見ていただいたら一番良いかと思いますが、パイプラインは今期の後半も非常に好調ですし、来年に向けてもパイプラインは非常に強いので、そういう意味では安心していただければと思います。
質問⑦:種を撒き終わって、いよいよ収益が上がる時期に入ってきたと見てよいでしょうか。
佐藤:パイプラインは非常に強いです。お客様や市場の変化に対して当社が打っている手を自信を持ってお伝えできる状況になったことは非常にプラスなことだと思いますし、当社の社員も今年の変革に対しての動きが活発になったので、今後はより成果につながっていく局面に入っていくのではないかと思っています。
質問⑧:本社の移転費用については今期で完了したのでしょうか。また、御社および関連事業所を経費のかかる都心に置く必要性についてお教えください。
佐藤:本社移転に伴う費用については、今期に計上した一時費用が中心で、現時点では概ね完了しています。今後は通常の賃料等の範囲での運用になります。
グループとしてはサークレイスを中心に、連結子会社(アオラナウ等)に加え、出資先・出資予定先も含めた連携を強めています。今回オフィスを集約したことで、案件ごとの情報共有や意思決定が速くなり、新しいお客様に対してもより深い提案がしやすくなりました。
事業規模の拡大に応じて将来的に拠点追加の可能性はありますが、移転からまだ1年程度ですので、現時点でこれ以上オフィスへの大きな投資は必要ないと考えています。
質問⑨:競合他社はどちらですか。また、競合優位性についてお教えください。
佐藤:Salesforceの同業他社は歴史のある会社も含めて複数ありますし、ServiceNowも同業他社が複数あります。
一方で、SalesforceとServiceNowの双方を横断してご支援できる企業は限られており、ここは当社の特徴の一つです。
ただ、それだけでは新しい提案に限界があるため、Synthesy(上流コンサル事業)との連携が重要になります。お客様の状況に合わせて、どのサービスをどう組み合わせるのが最適かまで含めてご相談に乗れる点が、当社の強みです。
質問⑩:どのような人材を求めてますか。
佐藤:AIが登場してからは人材のプロフィールが非常に重要になってきています。今まではコーディングがよくできることが評価されていた時代だと思いますが、今はお客様のニーズを聞き出す力やプロジェクトマネジメント力、チームマネジメント力が重要になってきていると感じています。AIなどのテクノロジーが強くなっていくと、人間性が重要になってきます。当社の採用もそういったソフトスキルが強い人、コミュニケーションがしっかりできる人、お客様と会話ができる人の採用を優先的に進めていますし、テクニカルスキルは後から勉強してもらうという流れが今のトレンドだと考えています。
質問⑪:古川さんから見た佐藤社長の強みと社風について伺いたいです。
古川:現状に満足せず、社員を引っ張って自ら新しい取り組みを持ってきてくれるところがとても心強いと思っています。今年からオフィスも1つになり、サークレイス単体だけで話をするのではなく、グループ内の関係各社との会話も増えましたし、社員も今までやってきた領域以外の新しいことに挑戦するところが、この一年で会社としてもすごく成長したと感じています。そういった点が魅力だと感じています。
質問⑫:今後はどういうところを目指して投資されていくのでしょうか。また、成長投資の考え方について伺いたいです。
佐藤:現時点で目玉となる投資は決まっていませんが、当社のお客様、あるいは仕事は世界の一番最新の技術を日本の企業が上手く使ってグローバルに事業を展開していくことであり、それが当社の得意なところなので、グローバルに展開するお手伝いができる最新技術をキャッチすることが非常に重要だと思っています。
質問⑬:今期第3四半期でもSalesforceの売上進捗率が悪くなっていますが、来期の中期経営計画の数字も含め、2030年までに売上高100億円を目指すまでの解像度を伺いたいです。市場環境の変化に伴い、困難とは感じていませんか。
佐藤:変化の時期は一番面白い時期だと思っています。今の世界の変化は、今までにはなかったくらい変化してるように見えますし、日本の状況がフィットするのではないかと思っているため、この変化に上手く乗ることができれば、当社は優位なポジションを築いていけると思います。日本の企業に最新技術を提供して役に立つことを目指してやっています。当社の社員も同じような不安を感じることがあるかと思いますが、車のレースではターンで順位が決まっていくように、当社にとって今はターンの時期なので、追い抜けるいいチャンスだと思っています。そのような考え方で当社を見ていただければと思います。
質問⑭:御社の強みとこれから伸びていくと考えられるところで、特に佐藤社長が注目されている事業や分野について教えてください。
佐藤:AIとデータという言葉が、いま何よりも重要になっています。データを1か所にまとめて、ガバナンスを守れる体制にしなければいけないという点が、どの企業も課題になってきています。2026年はこの分野の実装が進む局面だと思っていますし、AI化のすぐ後についてくると思うので、当社としても注力していきますし、お客様のニーズも強いところだと思っています。
社長のメッセージ
佐藤:今年の第3四半期は少し見劣りする数字かもしれませんが、事業としては手応えが積み上がっており、戦略通りに進んでいる点が多いと考えています。引き続き、中長期の成長に向けた取り組みを着実に進めてまいりますので、今後ともよろしくお願いいたします。