25/3/7【ミマキエンジニアリング】長野県から世界150ヶ国以上へ”水と空気”以外に印刷する産業用大判ジェットプリンタで今期も高成長維持!

  • スピーカー
    常務取締役 清水 浩司 氏 株式トレーダー 若林 史江 氏
  • 提供
    株式会社ミマキエンジニアリング
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はじめに

常務取締役  清水 浩司 氏(以下、清水):当社は長野県で産業用インクジェットプリンターを作っているメーカーです。今日はお伝えしたいことが2つあります。1つ目は、実は当社のプリンターでプリントされたものが皆様の身の回りにもあるということです。2つ目は、当社は紙以外への印刷に特化しているということです。プリンター、印刷というと、最初に思い浮かぶのは紙への印刷で、紙への印刷の需要は少なくなり印刷屋さんが廃業する等、少しネガティブなイメージがあるかと思いますが、当社は紙”以外”への印刷に特化しています。この2点をお伝えしたいと思っています。

 

株式トレーダー  若林 史江 (以下、若林):私達消費者は、基本的には完成品しか目にしないため、出来上がったものの細部がどこで作られているかを知らないことも多いです。実は技術でかなりの世界シェアを占めているという企業が多く存在します。個別株に投資をする上で、そこがすごく重要な部分になります。今日はミマキエンジニアリングさんのお話を楽しみにしています。

会社概要

清水:当社の会社概要についてです。

本社は長野県東御(とうみ)市にあります。長野県に本社がある理由は、元々長野県出身の者が創業したためです。従業員は世界中におり、現在は約2,100名です。プライム市場に上場しており、証券コードは6638です。主力ビジネスは、産業用インクジェットプリンターですが、プリンター本体だけではなく、色々な機能をつけたインクがあります。機能性インク、プリンターを動かすソフトウェア等を一貫して、長野県から世界に向けて販売しているメーカーです。

 

若林:海外の売上比率がとても高く、販売と製造を合わせて14ヵ国に拠点・製造があり、150ヵ国以上にサービスを提供しているとお聞きしましたが、かなり手広く世界に展開されていますね。

 

清水:そうですね。産業用の機械は、お客様のプリンターに何かトラブルがあった時、すぐにサービスマンが駆けつける必要があるため、様々な国に展開しています。

3つの市場とシェア > はじめに

清水:コンセプトについてです。スライドに「水と空気以外の様々な素材へ印刷するための」とありますが、事例を挙げると、街中にある看板です。最近はショッピングモールのガラスにも綺麗なサインがありますが、そういったものやグッズやノベルティ、洋服等にプリントするための産業用の大判(一番大きいものは3.2m幅)プリンターを取り扱っています。

 

若林:プリンターというと、自宅にあるプリンターを想像してしまいますが、「水と空気以外」というのはすごいですね。

 

 

清水:プリンターというと、家庭用のプリンターやオフィス用のプリンターが思い浮かぶかと思います。私も年賀状のプリントはほとんどしなくなりましたし、会社では会議の資料をわざわざ紙にプリントアウトして配ることもなくなっており、紙への印刷需要は減っていると言われています。紙への印刷は環境に負荷が大きく、特に家庭用プリンターはインクで儲けるビジネスモデルであるため、あまりいいイメージがないかもしれません。

 

若林:紙というと、環境負荷やSDGs等でも問題視されていますね。

 

清水:当社はスライドにあるようなものとは少し違います。

3つの市場とシェア > SG市場

清水:市場について説明します。1つ目がSG市場(Sign Graphics / サイングラフィックス)で、看板等の広告にプリントするプリンターが属する市場です。切文字看板、屋内外の看板、カーラッピングといった街を彩る用途で当社の製品が活躍しています。従来、職人により手書きで作られていた看板がカッティングプロッターによる切文字看板に替わり、現在ではデジタルプリンターによるグラフィカルな看板が主流となっています。

 

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若林:プリントされたバスや電車をよく見ますが、それらも全てできてしまうということですか?

 

清水:そうですね。最近はバスや電車の車両に、プリントしたシートを貼り付けたものが非常に多くなっていますよね。

 

若林:昔は書いていたのですか?

 

清水:昔はおそらく職人さんがペンキを使って、手作りされていたと思いますが、今は写真画質の看板やショーウィンドウの装飾等、デジタルのプリンターで作られているものが多くなっています。

 

若林:デジタルの場合、すぐに変更することができるというメリットもありますよね。書いてしまうと、広告の内容を変更したい場合、すぐに変更することは難しいですが、デジタルの場合はすぐに張り替えることができますね。

 

清水:例えば、クリスマスのセール後に、年始のセールに切り替えるといった場面でも役立っているかと思います。

3つの市場とシェア > SG市場での当社シェア

清水:スライドが、当社のSG市場でのシェアです。60cmから1.6m幅のプリンターで、年によって若干違いますが、シェア率20%から30%と世界でもトップシェアを争う企業の1社です。

3つの市場とシェア > IP市場

清水:2つ目の市場は、IP市場(Industrial Products / インダストリアルプロダクツ)です。工業製品やグッズ等の製作現場で使われているプリンターがこの市場に属します。

 

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清水:スマホケース、おもちゃ、自動車のパネル類、腕時計のバンドの部分や文字盤にもプリンターは使われており、国内外の有名ブランドの時計にも採用されています。

 

若林:一度はつけてみたいと思われる有名なブランドですね。また、一度は巻いてみたいと思われる有名ブランドのスカーフにも採用されているんですよね。企業名は見えていないけれど、その技術が使われて世界で活躍している良い例ですね。

 

床材の中には、本物の木ではなくベニア板に自分好みのシートを貼っているものもありますが、そういった技術も御社のプリンターが使われているのでしょうか?

 

清水:そうですね。まだアナログの生産の方が多いかもしれないですが、特注品の場合は、インクジェットプリンターかもしれません。

3つの市場とシェア > IP市場での当社シェア

清水:続いて、IP市場のシェアイメージです。色々な製品がありますが、ここで示しているA3からA2の比較的小型の(iPhoneカバー等をプリントする)機械がこの分野です。当社が世界で最初に市場参入したということもあり、トップシェアとなっています。

 

若林:他企業はなぜその市場に参入していなかったのですか?

 

清水:当社はUVインクを先駆けて扱っており、UV(紫外線)ライトを当てるとインクが固まります。UVインクを使うことで、色々なところにプリントすることができるということと、エンドユーザーからこういった小型のものが欲しいというお声を受けたことから、技術を合わせて製品化することができたと思っています。

 

若林:先ほど、従業員が全世界に約2,100名いるとありましたが、従業員のうちの約30%が開発者と伺いましたが、本当ですか?

 

清水:はい、そうです。国内の従業員は約1,000名、海外の従業員も約1,000名で、海外は生産と営業ですので、国内の従業員のうち30から40%は技術者です。

 

若林:だからこそ世界初のものに進んでいけるということですね。

清水:そうですね。色々なことにチャレンジする精神が高い会社だと思います。

推し活/グッズ制作のIP市場

清水:そんなもの作りの現場で使われてるプリンターですが、推し活グッズの制作現場でも大活躍しています。

 

若林:「5時に夢中」でノベルティグッズを作っていますが、もしかすると御社の技術が使われているのかもしれません。今回私の写真等を使ったグッズを作っていただきました。昨日お願いして作っていただいたので、あっという間にできたのですが、こういったものは小ロットでも作れるということですね?

 

清水:はい、小ロットでも可能です。今回作ったアクリルスタンドは、隣にプリンターとアクリル板があれば、すぐに作れてしまいます。キーホルダーやアクリルスタンドは今の流行りで、私の娘もアニメのキャラクターのものを持っていますが、この分野はほとんどデジタルプリンターで作られていると思います。当社は固いイメージの会社かもしれませんが、実はそんなところでも活躍しているという一面があります。

 

若林:推し活市場は8,000億円規模のようですので、夢のある市場規模ですね。

清水:そうですね。ネットニュースによると、今話題の生成AIの日本市場は2028年度に約8,000億円に拡大すると書かれており、それに匹敵する推し活市場はすごいのだなと改めて思いました。

3つの市場とシェア > TA市場

清水:3つ目の市場はTA市場(Textile & Apparel)です。洋服等の生地にプリントする機械がこの市場に属します。

 

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清水:生地や既製服へのプリントに使われているプリンターです。スポーツウェアやファストファッションといった分野では、かなりデジタルプリンターが作られています。

 

 

清水:特に、スポーツウェアにおいては、スライド左にあるサッカーのユニフォームは、基本的にチームで1種類あるいはホームとアウェイで2種類と思われるかもしれませんが、作る側からするとユニフォームには背番号や名前が入ることで、2種類ではなく50種類あるいは100種類まで制作する必要があるものです。デジタルプリンターは、データさえあればデータを切り替えて、小ロットでたくさんのものを作ることが可能であるため、スポーツウェアに使われているのです。

 

若林:子供が野球をやっているのですが、野球選手のユニフォームもそうなんですね。

 

清水:少なくともサポーターのユニフォームはデジタルプリンターを使っていると思います。野球繋がりで言いますと、メジャーリーグの大谷選手の愛犬の絵が入ったジャケットやシューズを身につけていましたが、あのような一点物はインクジェットプリンターだと思います。

 

若林:私がすごいと思うのは、メジャーリーグ等で災害があった時にすぐさまその地域のチームが応援メッセージを書いたチームのユニフォームを着ることです。災害の翌日にはそのユニフォームにしている対応の速さは、本当にすごいです。デジタルプリントの速さは強みですね。

3つの市場とシェア > TA市場での当社シェア

清水:続いて、TA市場のシェアイメージです。テキスタイルのプリンターにはいくつかの印刷手法があり、生産性が低かったり高かったりと色々なレンジがありますが、スライドで示しているのは昇華転写という方式のプリンターです。

 

若林:昇華転写とは何ですか?

 

清水:テキスタイルプリンターは大きく分けて2つ印刷手法があります。1つは、直接布にインクを飛ばしてプリントする方法です。一見、この方法が良さそうなのですが、生地にも色々な種類があり、直接インクを飛ばすと滲んでしまうものもあります。布によって、まずは薬剤を塗ってその後にプリントして、色を出すために蒸したり薬剤を洗ったりと、工程が非常に複雑で排水が出る点がウィークポイントです。

 

一方、昇華転写は一度転写紙という特殊な紙にプリントして、その後、布の上に紙を乗せて熱転写します。アイロンプリントのようなイメージです。アイロンをかけるとインクだけが布に移るという方法です。この方法では排水が出ず、比較的簡単であるという点が直接印刷する方法との違いです。

 

若林:小さいサイズのものだと昔からありますよね。シールみたいなものを貼って、アイロンで温めるとくっつくものがありますが、その産業用というイメージですね。

 

清水:このシェアが20%未満であるため、まだまだポテンシャルはあると思っています。

サステナビリティ TA市場

清水:テキスタイル産業は、環境負荷が大きい産業だと言われています。

 

若林:染色は莫大な水が必要で、染色業界は工業汚染水の約20%を占めていたと伺ったことがあります。

 

清水:テキスタイル産業には排水や廃棄の問題があり、水については転写紙を作る際に水を使用するので100%とは申し上げていませんが、昇華転写でプリントすることで90%以上削減することができます。廃棄の問題については、今でも衣類の73%が廃棄されています。今はメーカーも色々と取り組んでいて、リサイクル率は12%、リユース率は3%以下と言われています。

 

若林:リユースというと古着ということですね。

清水:デジタルプリンターの場合、必要な時に必要な分だけ生産することができるため、在庫数が減ることで廃棄レスに繋がっていくと思っています。当社は技術の会社ですので、業界に向けて新しい技術でサステナブルに貢献できる取り組みを行っています。

サステナビリティのTA市場:ネオクロマトプロセス

 

清水:ご覧いただいた技術は、まだ製品化されていないネオクロマトプロセスという技術です。昇華転写でプリントした小さい布に特殊な液剤を塗ります。この後、アイロンのようなイメージで熱と圧力をかけます。そうすると昇華転写でプリントした布が真っさらな布に戻ります。もちろん白くするだけではなく、もう一度違う柄を昇華転写でプリントすることもできます。この技術でどのようなことができるかと言うと、例えばコンビニエンスストアには季節のイベントごとにのぼりが出ていると思います。今は作る→飾る→捨てるというサイクルだと思いますが、この技術が社会実装化すると新しい付加価値をつけて再利用することができます。社内ではアップサイクルと呼んでおり、これによりCO2排出量を95%削減できるような技術です。

 

若林:この技術はすごいですね。

 

清水:今は製品化前のため、人がやっているので小さな布でしかできていませんが、製品化して機械でできるようにすることで、もっと大きい布も使えるようになると面白いと思っています。

 

若林:試作だから手でやっていたのですね。

 

清水:技術としてはあるので人が手でやればできますが、まだ小さいものしかできないです。

 

若林:再利用はコストがすごくかかってしまいますが、機械化できるとコストを下げて行えるので、大きな再利用の第一歩になりますね。

 

 

清水:スライドの左側の写真が、池袋のロフトさんの写真です。店内の季節用タペストリーをネオクロマトプロセスで再利用したものを使っていただいており、製品化は近々だと思いますが、その前に社会実装の実験を進めている段階です。

まとめと市場の成長性

清水:当社は屋内外の看板やショッピングモールの内装、グッズ・ノベルティ、衣料品等、水と空気以外の様々な素材に印刷するための産業用インクジェットプリンターを長野県東御市から世界中に販売している会社です。

 

若林:皆さんこんなにも自分の身の回りにミマキエンジニアリングさんのプリント技術が使われているとは知らず、驚かれたかと思います。

 

 

清水:成長性についてです。紙への印刷は減少していますが、当社は紙以外に特化しているため、まだまだ成長のポテンシャルがあります。紙への印刷は環境負荷が高いですが、当社は紙への印刷は行っておらず、デジタルプリントは小ロットで少しずつ色々な種類のものを作ることが得意なので、環境負荷が低いサステナブルなソリューションだと思っています。

 

また、当社はインクで儲けるビジネスモデルではなく、本体で適正なマージンを頂戴しています。当社が取り扱うのは産業用のプリンターであるため、プリンターを販売した時にオペレーターに教育をしたり、導入後にはサービスマンによる定期的なメンテナンスが必要であったりするため、本体でも適正なマージンを頂戴して、インクでもマージンを頂戴するビジネスモデルです。

 

若林:そのために世界各国に拠点を置いているということですね。

まとめと市場の成長性 > IP/TA市場の成長ポテンシャル

清水:スライドは、用途ごとにデジタル化の進捗を表したグラフです。一番左側のディスプレイグラフィックスは、当社で言うとSG市場に近しいと思っています。こちらの分野では、当社のデジタルプリンターを投入して20年から30年になりますが、ようやく7割から8割ぐらいまでデジタルプリンターで作られるようになったと言われています。しかし、それ以外の用途はまだまだアナログの印刷での生産がほとんどで、テキスタイル市場のデジタルプリント化比率は5%から10%と言われており、印刷業界のデジタル化はまだまだ遅れているため、これから進んでいくというステージにいると思っています。

 

若林:話を聞いているとデジタル化が進んでいるのかと思いましたが、意外と進んでいないのですね。ということは、伸び代があるということですね。

最後に決算や今後の見通しについても詳しく聞かせていただきたいです。

まとめと市場の成長性 > 中長期ビジョンを1年前倒し達成見込み

清水:スライドは当社の売上と利益を8年分載せたものです。コロナ前は500億円ちょっとの会社でした。2020年(コロナ時)は売上を大きく落として赤字でした。2020年に中長期の経営戦略(Mimaki V10)を策定し、2025年までに営業利益率を10%にするという目標を掲げて、その前提となる売上の平均成長率を10%を目安としてやってきました。2020年の赤字の時にこの目標を発表した際には、「赤字の会社が5年で営業利益率10%なんて」という声もなきにしもあらずでしたが、コロナの時もしっかりと開発を続けて新製品も投入し、従業員一同頑張ってきた結果、今期(FY24期)の売上高が840億円、営業利益が86億円、営業利益率が10.2%と、達成できそうな状況です。

 

グラフの一番下にある紫色がSG市場、黄色がIP市場、青色がTA市場で、全ての市場が伸びています。足元では、TA市場が非常に伸び率としては高いです。これまでは50億円を行ったり来たりしていたのが、94億円の見込みであるため、ポテンシャルは十分あると思っています。

当社と市場の成長性 > 弊社株価推移

清水:当社の約1年間の株価推移です。1年前は900円で3月に1,000円に乗ってきたぐらいで、決算を発表した後の業績で夏前に一時2,000円を超える水準まで上がりましたが、残念ながらその後は調整局面で足元1,400円前後という状況です。資本収益性の指標は、PBR1.33倍、ROE15.07%と、2つの数字は非常にいい数字だという認識ですが、PERがわずか7倍と市場平均からするとかなり低い水準で、投資家の皆様にPRが足りてないのかなと思い、本日IRセミナーを開催しているというところです。

 

若林:PERとは株価収益率というもので、大体20倍前後が割安だと言われています。ミマキエンジニアリングさんはPERが約7倍なので、株価的には割安で今後株価を上げる余地があると考えてもいいかなと思います。

株主還元

清水:最後に株主還元についてです。基本方針として、業績の成長に見合った成果の配分を安定的かつ継続的に行っていくとしています。今期の配当については、中間配当は元々15円の予想でしたが、過去最高益であることから17.5円に増配いたしました。期末(予想)の15円を加えて、今期の予想配当は32.5円と前期から7.5円の増配を予定しています。

 

若林:約10年で3倍です。コロナ禍で一度下げていますが、ずっと増配という形をとっているということですね。2015年から比べたら3倍というのはすごいですね。ちなみに、株主優待はないのですか?

 

清水:株主優待はありません。当社はB to Cの商材がないのと株主様にも色々なお考えがあり、優待が欲しいという方もいれば、配当で欲しいという方もいらっしゃるため、今後検討していくべき点だと思っています。

投資家へのメッセージ

清水:今日ご説明した通り、意外と身近なところでプリンターが使われているということ、そして印刷のデジタル化はまだまだこれからで、ポテンシャルが高い会社です。当社は東証プライム市場に上場していますが、社内では当社はベンチャー企業だと言っています。色々なことにチャレンジして、もちろんたくさん失敗もしていますが、失敗もしながら新しい世界初の製品を作っていきたいと思っており、大手メーカーと比べてネ-ムバリューはありません。安定感も多分ないと思います。中長期的に見て、「この会社ひょっとしたらまだまだ成長していけるんじゃないか」というところに興味を持っていただいて、投資先の一つとして検討に加えていただければありがたいと思います。

質疑応答

質問①:今期の売上高と営業利益の見通しについて、達成に向けた具体的な施策を為替の影響も含めて教えてください

 

 

清水決算の前の2月に業績予想の修正をしており、今期の売上高が840億円(11.1%増)、営業利益が86億円(56.9%増)と上方修正しています。現状考えられる範囲の中で業績予想値を出しています。為替レートについてはご覧の通りです。3月の決算前ですので、はっきりと達成できるとは申し上げられませんが、この数字は頑張って達成できるのではないかと思っています。

 

若林:2024年から25年にかけて、予想とはいえかなりの率で上がっていますが、どのような要素が関係しているのでしょうか?

 

清水原価率が改善していることが挙げられます。コロナ禍においては半導体がなく、いつもの100倍とは言わないですが、何10倍という高い半導体を買っていましたが、その在庫がほぼなくなってきていることと、新製品で価格の調整をしていること、そして為替のプラス要因があります。

 

 

質問②:個数で言うと、どのくらいの数を販売されているのでしょうか

 

清水インクは数えきれないため、本体で言うと1万台とか2万台とかそういう単位だと思います。

 

司会私も日々推し活に勤しんでいますが、推し活市場が伸びていくと個数も伸びていくということですよね。

 

清水そうですね。日本国内のユーザーさんには何十台と機械をお使いいただいて、グッズを作っている方もいらっしゃるため、今後も増えていくと思います。

 

司会外国人観光客の皆さんもアニメや日本文化のキーホルダー等、推し活グッズを求めて日本に来る方もいるようですね。

 

清水もっとユーザーさんにプリンターを買ってもらえるように頑張ります。最近は県ごとにキーホルダーが存在し、キャラクターのものもあるので、種類がたくさんあるというのはデジタルの強い分野だと思います。

 

質問③:御社の業績からすると、株価が低いように感じますが、どのような分析と対策をお考えでしょうか

 

清水当社はPERが低いですが、ご覧の通り業績は順調です。株価については、PERが低いことが一番の理由だと思っています。市場に知られていないということが大きいと思います。個人投資家様と機関投資家様に対して、PERを上げるために説明していくことが重要だと思っています。

 

 

質問④:配当性向についての考え方を教えてください

 

清水現状は、特に配当性向の指標は示していません。当社は開発の会社でまだまだ伸びしろがあり、色々な市場に高いポテンシャルがあるので、しっかり開発投資もしていきたいというところがありますが、基本的には業績や成果に見合った配分を減配することなく、安定的に配当していきたいという方針です。

 

若林:先行投資も大事です。設備投資をして企業が大きくなるということが大前提で、投資家は潤うわけです。

 

清水業績をしっかりあげて、株価が安いというお話がありましたが、株価を上げることも大事なことだと思います。

 

質問⑤:ネオクロマトプロセスの技術動画を見て、すごいと驚きました。御社で特許を取得されているのでしょうか。また、2020年に営業利益がマイナスだった理由はなぜですか。コロナの影響でしょうか

 

清水1点目のネオクロマトプロセスは、とある外部のメーカーと共同開発している技術です。2点目の営業利益については、やはりコロナの影響がありました。特に、4月から6月の第一四半期で約20億円の赤字だったと記憶していますが、完全に物が止まって工場も止めたので、純粋に物が動かなかったということではありますが、その後SG市場はインクがすぐに戻ってきました。ソーシャルディスタンスの表示シート等の需要もあったため、SG市場は比較的早く戻ってきて、最終的にはマイナス5億円まで縮めることができました。

 

若林:ソーシャルディスタンスの表示シートというと、意外と特需があったということですよね?

 

清水そうですね。意外と景気だけではなく、アメリカの大統領選挙では皆さんプラカードを持っていますが、そういった特需があったりもします。

 

 

質問⑥:株価を上げるためには、企業そのものを知ってもらう必要があるかと思いますが、今後より広く企業を知ってもらうための戦略はありますか

 

清水私もこれについては非常に悩んでいます。業務用の展示会に行くと当社は有名なのですが、なかなか一般の方に伝えるところがないため、去年から個人投資家向け説明会の開催頻度を増やしたり、色々な方にレポートを書いていただいたりして、投資家の皆様の目にふれる機会を少しでも増やしていこうと取り組んでいるところです。

 

若林:御社が取り扱うのは完成品ではないため、CMを打ったところで効果があまりないというのは難しいですね。

 

清水:社内でもCMについて検討したことはありますが、やっぱりちょっと違うよねとなりました。

若林氏の感想

司会:そろそろお時間となりましたので、質疑応答を終了とさせていただきます。最後に若林さん、今日のお話を聞いてみていかがでしたか。

 

司会:私はミマキエンジニアリングさんは堅実な経営で、昔から投資対象としており、投資家として企業名はよく存じ上げているのですが、ここまで身近なものに使われているのには本当に驚きました。今後世界を席巻していく伸びる企業が意外と隠れてしまっているんだなと率直な感想を抱きました。

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