【グローバル・リンク・マネジメント】2023年9月9日 福岡IRセミナー
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スピーカー
代表取締役社長 金 大仲(キム テジュン) 氏
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提供
グローバル・リンク・マネジメント
POINT
【個人投資家向け説明会】
開催日:2023年9月9日(土)
場所:福岡
AGENDA
金大仲氏(以下、金):本日は4つのポイントに分けて、ご説明させていただきます。1点目が会社概要、2点目が当社の長期構想であるGLM VISION 2030に伴う中期経営計画、3点目が今期の見通しと今後の見通し、4点目が株主還元についてです。
会社概要
早速ですが、会社概要についてご説明いたします。
会社名は「株式会社グローバル・リンク・マネジメント」で、会社は東京渋谷にあり、渋谷駅直結のマークシティというビルの中に入っています。設立は2005年で、来年で20年目を迎える会社です。
従業員は約130名です。私が創業社長であり、今現在も代表をさせていただいています。当社は2005年に創業し、2017年にマザーズに上場しました。そこから約1年で東証一部に市場変更し、2022年に東証の再編成が行われた時にプライム市場を選択しています。
本日皆様に覚えていただきたいことが2点あります。1点目は、プライム市場に残るには条件があり、当社は1点だけまだ満たされていない状況であるということです。その条件は、「流通株式価格が総額100億以上」というもので、2025年12月までにクリアしなければならないとされています。昨日の終値が2,004円ですので、今現在60億円弱となっています。簡単に言うと、株価を2,000円から4,000円まで上げることで、「流通株式価格総額100億円以上」をクリアすることができるので、事業の利益を出すことは当然ですが、投資家の皆さんに当社のことを理解していただき、応援していただきたいという思いで私を含め、IRチームで一生懸命IR活動を行っています。
もう1点は、どのような特徴がある会社なのかということです。日本で一番ESG不動産を新築で開発し、供給しているという点が当社の特徴です。以上2点をご理解いただいた上で、お話を聞いていただければと思います。
企業理念
企業理念は、Mission、Vision、Valueとあります。
Missionは「不動産を通じて豊かな社会を実現する」
Visionは「不動産のリーディングカンパニー」
Valueは「No.1」「挑戦」「共創」の3つがあり、これは全社員が非常に大切にしている価値観です。地球環境/社会課題の解決/当社の事業、これら三方よしの事業を行うことで、サステナブルの継続性持続性のある事業の拡大を「共創」をもって、「No.1」への「挑戦」をしていくという価値観を大切にしています。
沿革
スライドは売上の推移です。
2005年に創業して、売上は順調に右肩上がりの推移になっており、昨年(2022年)で350億円の売上、今期(2023年)は400億円の売上を計画しています。そして来期(2024年)は、500億円と大きく右肩上がりに成長する計画となっています。創業時(2005年)に10億円であった売上が、創業20周年を迎える来年(2024年)には500億円と、約50倍まで事業を拡大するという成長スピードです。
事業内容
不動産ソリューション事業とプロパティマネジメント事業の2つでご説明しています。
簡単に言うと、不動産ソリューション事業とは、当社が新築で不動産を作って売却するフローの収益が中心となっています。プロパティマネジメント事業は、それらを管理することによって、ストックの収益が生まれてくる事業になっています。この2つの比率が売上で、不動産ソリューション事業(9):プロパティマネジメント事業(1)という形になっており、今後は当然フロー・ストックの両方が拡大していきますが、ストックをさらに大きくすることによって財務体質の改善を図り、リーマンショック等、何かが起こっても大丈夫と言える体制を築き上げたいと考えています。
主力ブランド ー ARTESSIMO(アルテシモ)
当社の主力ブランドは、単身世帯用コンパクトマンションのアルテシモシリーズです。
特徴が2つあり、1つは3チカエリアに開発をしている点です。3チカというのは、3つの「チカ」からなっている当社が作り出した造語で、一つは駅から近い、2つ目が都心から近い、3つ目は高い地価となっています。駅から近いというのは、駅から徒歩10分圏内、都心から近いというのは山手線まで徒歩30分圏内、高い地価というのは公示地価や路線価が高いというのもありますが、当社はそのエリアの開発が進み、人口が増えていく点にフォーカスして、マンションの開発をしています。
2つ目の特徴は、コンパクトマンションであるという点です。コンパクトマンションとは、20平米から50平米、間取りで言うとワンルームからだいたい2DKぐらいまでの広さになります。主に単身世帯の方々に住んでいただくマンションとなり、東京は1,400万人程の人口ですが、実は約700万世帯は(人口の約半分)が単独世帯で、一人暮らしや二人暮らしの方が非常に多いです。圧倒的に単独世帯が多いため、そういった方々をターゲットとした新築のコンパクトマンションシリーズになります。
GLM開発実績 ー 分布図
東京は東西に長く広がっており、スライドの右側(黄色い部分)が23区と言われる場所です。
23区は東京の面積のうち約30%で、湾岸部で非常に狭いのですが、ここに人口が7割集中しています。また、東京の真ん中には山手線という環状線が走っており、ここが中心と言われています。スライド内で点が打ってある場所が過去に当社のシリーズを販売したエリアになっています。このように3チカエリアが当社の特徴となります。
業界トップクラスの供給戸数
当社がどのぐらいのシェアがあるかと言いますと、不動産経済研究所が出しているデータで、コンパクトマンション市場では大体年間6,000室の供給がされており、その中で当社の供給戸数(2022年)は約914室ですので、シェアは15%超となっています。おそらく新築のコンパクトマンションを供給している会社の中では、5本の指に入ります。近い将来、当社が重要としている「No.1」を目指していきたいと思っています。
なぜ東京圏なのか ー 東京圏に人口集中(都道府県別転入超過)
東京だけではなく、東京圏と言われる東京・神奈川・埼玉においても人口の増加が続いているというデータが出ています。スライドは総務省が出している日本の都道府県別転入超過数を示したデータなのですが、0より上が人口が増えている数字です。転入数が伸びてるのは東京・神奈川・千葉・埼玉といった東京圏です。都心に人口が集中するという現象が起きており、これは日本だけではなく、世界中で都心に人が増え続けるという現象が起きています。
GLM VISION 2030 長期構想・方針
GLM VISION 2030 長期構想についてです。
不動産×環境×DXによりサステナブルな不動産開発・運用No.1を目指していくという方針を立てています。
2030年の事業ポートフォリオ
2030年のイメージですが、現在当社はアルテシモシリーズというコンパクトマンションの企画販売といったフロー収益が主ですが、今後はレジデンス以外の分野もどんどん大きくしていこうと考えています。管理手数料や当社保有物件の家賃収入といったストックを強化することによって、2030年までに一気にNo.1を目指していきたいと考えています。
2022年中期経営計画 ー 2024年計画
では、それをどのように実現するのかと言うと、2022年に中期経営計画を出し、2024年の着地が売上高が500億円、経常利益が50億円、環境対応比率は自社開発物件で100%、取り扱い物件で50%としています。ここで見ていただきたいのが、売上高は年平均成長率(以下、CAGR)が20%弱と高い成長率ですが、それ以上に経常利益のCAGRを約50%ずつ上げていくという計画を立てている点です。「そんなことができるのか」「売上に対して利益構造はどう変わっているのか」というご質問をよく受けるのですが、昨年(2022年)の22億円という目標に関しては、既に達成しています。今期(2023年)に関しては、当初立てた30億円の目標に対して、既に3億円の上方修正をしています。そして来期(2024年)に50億円を一気に達成していくという計画を立てています。
2022年中期経営計画 - 5つの成長戦略
その計画を実現するための5つの成長戦略を紹介します。
1点目は開発物件の高付加価値化です。冒頭に申しましたESGマンションを徹底して作ることによって、資産価値の向上を図っています。
2点目が開発速度の向上・効率化です。オフバランス開発という、たくさん開発することができるスキルも用いています。
3点目は販売効率・高付加価値化です。1棟バルク販売という、まとめて販売する営業手法を取っています。
4点目が事業領域の拡大です。
5点目が事業エリアの拡大です。
ESG不動産の特徴とメリット
それぞれの成長戦略を簡単に説明いたします。ESG不動産とは、2022年3月に米国証券取引委員会が米国で上場する企業に対して、気候変動に関連するリスクと温室効果ガス(GHG)排出量などの開示を求める規則案を公表しました。これにより、今後どういうことが起きるかと申しますと、環境配慮型に対応していない物件に関しては、取引の中で価格が下がっていき、ESG不動産においては、価格が上がっていくという「グレート・リプライシング(価値の再選別)」が起きるとマッキンゼー・アンド・カンパニーは提唱しています。これはアメリカだけではなく、ヨーロッパでも出ており、日本でもそのようなルール規制が2030年からスタートします。
開発物件の高付加価値化
どういうことが起きているかというと、賃貸価格、売買取引価格は既に国内外で差が出てきています。大阪の新築マンションにおいても価格が約5%弱変わっており、例えば東京のオフィスビルにおいても、2%の賃料の上昇が見込まれています。カリフォルニアの住宅においても、売買価格は約2%以上の区別化がされてきているというデータが出ています。
環境配慮型建築「ZEH・BELSの取り組み」
当社のアルテシモに関しては、基本的にZEHないしBELSを取り入れることによって、建てる段階から環境配慮型の認証を得ています。当社は「ZEHデベロッパー」に認定され、当社が作るコンパクトマンションの全てがZEHかBELSに取り組むことによって、20%以上の一次エネルギーをカットする建物構造を使っています。
動画がございますのでご覧ください。
ZEHの認証確認を取ってから竣工するまで、マンションで約1年ちょっとかかります。当社は昨年(2022年)からこの取り組みを掲げ、土地を取得して建築確認を取る段階でこの認証を取ります。建物が完成するまでに時間がかかりますので、今年の5月に初めて認証を取ったマンションが建ちました。そちらの紹介VTRです。こちらの動画は社内用で、社員に対してこういった環境のマンションが建ったことを共有するための、社外に出してないVTRです。当社はこのようなマンションをこれからもどんどん開発していこうと考えています。
開発速度の向上・効率化
成長戦略の2点目はオフバランス開発です。
当社は自社のバランスシートを使うことなく、パートナー会社のバランスシートを使うことによって、開発速度を上げていくという取り組みをしています。これによって、当社は1年間で建てられるマンションの戸数(売上)を早めることができるというメリットがあります。さらに竣工リスクを避けるというメリットもあります。
販売効率・高付加価値化①
3点目が販売営業手法で、複数棟まとめて販売するという手法となっています。従来、建った新築のマンションを1部屋ずつ国内外の個人投資家の方に売却していたのですが、今はまとめて機関投資家に売却するという営業手法をとっています。機関投資家とはどのような会社かと言いますと、保険や年金を扱う世界中の不動産ファンドやリートを創生している会社になります。これは日本国内にもありますし、欧米やアジア中東にもあります。そういった方々が治安が良く、安定している東京のマンションを運用したいというニーズが継続して多くある状況です。
販売効率・高付加価値化②
こちらが昨年の実績になります。
2022年1月、主に保険の資金を運用するカナダの会社に、24物件793戸をまとめて販売させていただきました。そして、2022年11月、22物件922戸を三井物産デジタル・アセットマネジメントにまとめて売却いたしました。このように当社は、ESGマンションや3チカのコンパクトマンションをまとめて売却することによって、高付加価値化を実現しています。
事業領域の拡大 - ビルディング事業
成長戦略の4点目が、非レジデンス等新規事業への取り組みです。
2023年から新たな事業を立ち上げています。これは既に建っている少し古いオフィスビルを購入し、それらをリノベーションした後に、賃料を上げて再度売却するという事業です。
事業領域の拡大 - 用地仕入事業
もう一つの非レジデンス事業は、用地仕入事業です。
こちらは隣り合った土地の地権者の相続対策となります。使ってない空き家を自分一人で売却するとなると価格がそこまで伸びないですが、土地は大きくなればなるほど価格が伸びるという特質があるため、当社が隣地をまとめて権利関係を調整し、土地をできるだけ高く購入させていただきます。土地自体が大きくなることで形が良くなり、大きな道路に面することもあるため、一気に価値が上がります。当社はその土地を売却、または自社で開発するといった新しい事業を展開しています。
事業エリアの拡大
成長戦略の5点目は、エリアの拡大です。
今は埼玉や神奈川含め、東京圏までエリアを広げています。これら5つの戦略を持って、中期経営計画を必達していきたいと思っています。
2023年12月期通期予想
2023年12月期(以下、今期)の予想と今後についてです。
昨年(2022年)の売上高が356億円でしたが、今期の計画は400億円です。経常利益は33億円を目標にしています。見ていただきたい点は利益率の上がり方で、昨年(2022年)の経常利益率は6.4%と大きく改善されています。
新築レジデンス契約・決済状況について
当社は12月が決算ですので、先日第2四半期を発表しました。
今後については、スライドを見ていただくと非常にわかりやすいかと思います。今年に関しては新築マンションの売買契約が終わっており、竣工してから機関投資家に引き渡しをするという流れです。第1四半期では、171室(6棟)を売却し、第2四半期では382戸(9棟)を売却して順調に進みました。そして、第3四半期は130戸(4棟)を引き渡す予定です。第4四半期は342戸(6棟)となっていますので、こちらをしっかりと引き渡すことによって、当社の計画が着実に達成する流れになっています。
2023年12月期第2四半期決算ハイライト
第2四半期が終わった時に開示した数字がこちらです。
売上高が236億円、経常利益が28億円で、現在86%という非常に高い進捗率となっています。販売戸数に関しては、予定通り約53%の進捗率となっています。
仕入状況 ー 新築レジデンスパイプライン①
毎回出しているこの資料を見ていただけると、今年、来年、その先のすべての情報が分かりますので、ご確認いただけたらと思っています。資料の見方としては、スライドの左端が2023年の新築レジデンスのパイプラインで、26棟あり合計が1,047戸あるということになります。計画は960戸で進めていたのに対して、1,047戸なので計画を超過したパイプラインがあるということになります。そして緑色に塗られているものは、もう既に売買契約が終わっている物件です。竣工したら引き渡すだけということになります。環境配慮の欄に丸がついている物件は、当社の最も特徴のあるところです。今年に関しては少ないですが、来年はほとんどが環境配慮型となる準備ができています。
仕入状況 ー 新築レジデンスパイプライン②
来年(2024年)の中期経営計画の最終目標である、売上高500億円と経常利益50億円に関しても、このスライドで来年の仕入れが順調なのかを見ていただければ、お分かりいただけます。来年は1,240戸という計画を立てており、現段階で1,430戸であることから、仕入れのパイプラインはもう既に超過してる状況になっています。そのため、こちらの物件を1棟まとめて販売するだけとなりますが、建築確認がおりなければ売買することはできないので、だいたい年末から年始のタイミングとイメージしていただければと思っています。こちらを売却することによって、来年の計画も順調に進むのではないかと思いますので、この資料から皆さんにも確認していただけるのではないかと思います。
外部環境の影響(アップデート)
外部環境についてです。
当社の事業に関して、「円安はポジティブなのか、ネガティブなのか。」というご質問をよくいただきます。当社にとっては非常にポジティブです。海外投資家から見ると日本のものが安く、日本の不動産が安い状態です。東京のレジデンスに関しては、世界中の皆さんの購入意欲が高いので、円安というのは追い風になっています。インフレになったことで、建築資材の高騰等がありますが、これはロシア・ウクライナ問題もそうですが、働き方改革等で建築現場も大きく変わっています。建築資材高騰のデータを見ると、今は高止まりしており、今後も若干ながら上がっていくことが予想されるため、利益率を圧迫する可能性があると私自身も思っています。
外部環境の影響 金利動向について
金利についてです。
ご存知のように、日銀総裁が黒田さんから植田さんに変わり、2022年の年末からイールドカーブ・コントロールが0.25から0.5、そして1%となり、10年金利の利回りは国債利回りが若干上がりましたが、実際の政策金利はどうかというと、今のところ変わっていません。今後、若干上昇していくのではないかという見方が強いので、こちらも注視していかなければならないと思っています。開発というよりは、運用の方にどれだけ影響があるのか、出口の機関投資家の方々の考えをしっかりヒアリングしていく必要があると考えています。
株主還元
最後に株主還元についてです。
基本的に、配当性向30%を目指しています。しかしながら、現在事業を伸ばしていき、収益構造も稼げる強い会社を目指していますので、新規ビジネスに関してもエクイティ案件への投資が出てきた場合は、事業成長をさらに加速させますので、配当を据え置きとさせてくださいという内容を2月に発表しています。2022年12月期が52.5円でしたので、今のところ据え置きの52.5円と出していますが、エクイティ投資額は社内で決まっており、そちらの予算も開示しています。2023年12月期に関しては、10億円のエクイティ投資を上回った場合、配当額は30%を切る可能性もあることをご容赦くださいというお話をさせていただいています。
当社のIR情報を見ていただけるとわかるかと思うのですが、現段階では大きな投資はございません。年末にかけてそちらの投資が10億を超えなければ、再度見直して30%を目安とした配当をさせていただきたいと考えています。
株価推移 プライム市場基準適合に向けて
株価についてです。
昨日の段階で2,000円を超えていますが、冒頭にも申し上げました通り、中期経営計画の売上高500億円、経常利益50億円を達成することによって、株価を4,000円まで上げるという計画書を東証に提出していますので、事業で収益を上げ、投資家の皆さんに当社のビジネスモデルを理解していただき、当社の計画が実現性のあるものであること、そしてそれが2030長期ビジョンに向けてさらに加速し、事業が拡大していくことというのをしっかりご説明させていただくことで、株価4,000円を達成していきたいと思っています。
この機会に興味を持っていただけるようでしたら、ぜひ応援していただき、共創していただけたら嬉しく思います。ご清聴ありがとうございました。
質疑応答
質問①:株価2,000円から4,000円と冒頭でもおっしゃっていましたが、プライム維持基準達成に向けた戦略や方針などありますでしょうか。
金:2024年の中期経営計画の売上高500億円、経常利益50億円、純利益32億円を達成することによって、「流通株式価格が総額100億以上」を実現できるのではないかと思っています。
質問②:今期の業績進捗が順調のようですが、業績修正などを期待してもよろしいでしょうか。
金:細かいことはお話できないですが、12月は結構大きな売上と利益が積み上がることになってます。それが可能かどうかのポイントは竣工です。契約は終わっていますので、しっかりとマンションが建てられるかがポイントになってきます。それが分かると、第3四半期の段階ではほぼ確定となりますので、その時に正確な着地の開示をさせていただきたいと思っています。
質問③:環境配慮物件について非常に素敵な取り組みだと思います。投資家等の反応はいかがでしょうか。
金:当然コストがかかるものですが、先駆けてやることに価値があると考え、スピードと判断で一気に作りました。実は、昨年はあまりご理解いただける機関投資家が少なかったのですが、今年に入って一気に変わりました。非常に多くの機関投資家の方々が興味を持ってくださり、今では逆に、環境配慮型の認証が必須だという価値観に変わっていますので、当社としては非常にうまくいったと感じています。そして、とてもポジティブに反響をいただいていると実感しています。
質問④:現在業績が右肩上がりで素晴らしいですが、コロナ禍で変化はありましたか。20年の中で一番苦労した点をお教えください。
金:コロナ中、非常に大変なことがありました。シンガポールや香港や上海等に行って、海外の個人投資家にも販売していたのですが、それらが全てなくなったというのが最も大変なことでした。また、コロナ中に金融機関がストップしたことです。審査する方々がコロナに感染すると、銀行の審査が止まりました。審査が止まったことで、当社は資金ショートのリスクを一気に感じました。そこから当社は、自社でファンドを創生するという新たなチャレンジをすることができました。そのため、当社は今後何かがあってもデベロッパーにおいて一番の問題である資金ショートにならないような方法を2つ考えています。1つは竣工したら必ずオフバランスできるようなエクイティを抑えた、自分たちでファンドやリートを創生できる出口戦略を持つことです。そしてもう1つが、金融機関とのコミュニケーションによって、借入金利の期間をロングで取るということです。一般的に開発は、だいたい2年ぐらいでファイナンスを借りますが、これを10年で借りることによって、出口が止まった時も賃貸をつけて保有して、ストックに変えるということができます。コロナ中に学んだこの2つの対策によって、何があっても大丈夫な財務体質と戦略で乗り切れることに気づき、現在その体制を整えてきているので、むしろ怪我の功名といいますか、コロナによって一気に体制を変えることができてよかったと考えています。
質問⑤:買い増しを考えていますが、金利高がネックで…。社長はどのように見通しされていますか。
金:買い増しはぜひ、タイミングを見てしていただけたらと思っています。金利高に関しては、おそらく少しずつ金利を上げていく政策をとっていくのではないかと思いますが、今はまだ実質インフレ率がようやく2%のターゲットを超えてきたといったラインですので、ここで金利を上げてしまってそこを失速させるということは、まずないのではないかなと思います。あと1、2年順調にインフレの%がさらに上がってきた段階で、ようやく動けるのかなという見立てです。なので、2、3年の間にそういった動きを心配する層が出てくるかなと思いますが、当社がターゲットにしているのは国内および海外の機関投資家です。皆さんご存知の通り、低く安定しているのは日本だけで海外はさらに高いので、海外の機関投資家が運用しなければいけない資金で考えると、今後日本は上がる可能性はありますが、非常に安く、海外ほど一気に上げられないだろうという思惑があり、相対的に見るとやはり日本の金融政策のもと、追い風が吹いていると思っています。
質問⑥:将来的にプライム基準適合には、女性役員の割合が関係するようですが、現時点で女性役員の割合は何%でしょうか。
金:現時点では女性役員がいません。しかし、その課題は私も非常に重大な課題だと思っています。人的資本の計画も2030年までに社内で議論している最中です。女性だからとりあえず登用するという考えはありません。当社の長期構想やミッション、企業理念、ビジョンを実現するために、必要なスキルを持った女性を登用することが私の責務だと思っていますので、女性を登用しなければいけないから登用するということはしません。当社の計画に則ったスキルを持った方に来ていただくことを考えています。現在、女性役員はいないですが、重要な課題だと捉えていますので、早い段階で女性の役員登用を実現していきたいと思っています。
質問⑦:株価はいくらぐらいまで行くでしょうか。
金:わかりませんが、当社としては東証に株価を4,000円にする計画書を提出しています。計画通りに行くことによって、現在成長率も上がっていますし、IR活動をすることで、昨年からコツコツではありますが株価も順調に上がってきています。ちょうど計画を出してから、1,000円だった株価が今は2,000円と倍になりました。これは当初4,000円としたところのちょうど半分になりますので、株価が4,000円になるということは当然分かりませんが、この業績をしっかりと継続し、IR活動をすることによって、十分実現するのではないかと思っており、そこがスタートラインではないかなと思っています。
質問⑧:コロナ禍は大変ご苦労されたんですね。戦略や体制を立て直す中で、一番苦戦したことは何でしょうか。
金:デベロッパーはファイナンスと相関関係が非常に強いです。ファイナンスがショートしてしまうと、リーマンショックの際にも一番多かった黒字倒産を招きます。黒字でも返済しなければいけない、しかしマーケットでは売れないといった事態となるため、一番苦労したというか大きなポイントはファイナンスの改善です。
そのため、銀行、証券含めて、コミュニケーションをしっかり取ることによって、どんなことがあっても絶対に潰れない、どんなことがあっても事業を継続できるようなファイナンスのコミュニケーションと仕組みを作ることが重要であり、一番苦労しているといいますか、今もまだ継続して改善しているところだと考えています。