【アイリックコーポレーション】 2023年8月23日配信 IRセミナー

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    株式会社アイリックコーポレーション 代表取締役社長CEO 勝本 竜二 氏 経済アナリスト 三井 智映子 氏
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    株式会社アイリックコーポレーション
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事業セグメント

勝本社長(以下、勝本):まず当社の概況ということで、当社は事業セグメントを3つ運営しており、1つは保険販売事業です。こちらは来店型保険ショップである『保険クリニック®』で、現在は直営店舗が62店舗あり、日本で初めての来店型の保険ショップを開いています。

2つ目の事業はソリューション事業です。こちらは『保険クリニック®』から派生したもので、いわゆる保険ショップのフランチャイズ展開やシステムを活用して保険事業のお手伝いをするようなことに取り組んでいます。

3つ目は子会社の「株式会社インフォディオ」という会社で行っているシステム事業で、非常に旬な話題としては「スマートOCR®」の技術開発が成功して以来、かなりのオファーをいただいている状況です。保険業界以外でも、OCRをかなり使っていただいています。

TOPICS①

『保険クリニック®』を聞いたことある方もない方もいらっしゃると思いますが、実はオリコンで3年連続顧客満足度日本1位をいただいています。全8項目のうち4項目が1位で、残りの4項目か2位ということで3年連続選ばれています。

TOPICS②

前期は大規模プロモーションと名を打ってテレビCMを出しました。イメージタレントは向井理さんにお願いしており、テレビCMだけではなく、関東のJR全車両にポスターを貼ったり、YouTubeの広告等も配信しています。

TOPICS③

会社の特徴の一つが、女性が活躍できる企業として厚生労働大臣女性活躍推進法に基づく優良企業として、「えるぼし」というものを取得しています。2023年7月に東洋経済オンラインでも発表されましたが、女性部長の比率が高い会社ランキングで日本4位として取り上げられました。

2023年6月期 業績ハイライト

前期6月期の業績のハイライトです。

売上高は60億500万円で対前期で15.5%増加しています。売上総利益もそれに伴って50億1,500万円と15.7%の増加となりました。一方で、販売費及び一般管理費が48億2,800万円と23.3%増加しました。主にCM等で前期よりもかなり高額の投資をしているということが要因となっています。結果として、営業利益1億8,800万円、対前期比で55.1%の減少、経常利益1億9,500万円、対前期比で54.9%の減少、親会社株主に帰属する当期純利益は1,600万円、対前期比で93.7%の減少となっています。

こちらは貸倒引当金の充当や減損処理等が今期に重なったこともあり、当期純利益が大幅に減少しましたが、一過性のものであると捉えています。

保険販売事業売上高

保険販売事業は31億5,600万円、対前期比で7.1%の増加となりました。向井理さんをイメージキャラクターに起用し、かなり大規模に展開をしました。「オリコン顧客満足度®3年連続1位」を押し出しながら、広告を行っていきました。その結果、WEBからの電話・オンライン相談の流入は非常に増えたと思いますが、一方で、まだまだコロナの影響は完全になくなったというわけではなく、直接お店に来店されるお客様は実はあまり戻っていないというのが現状です。そのため、当初の予定よりも集客数が届かず、売上高も残念ながら当初の計画には少し足りませんでした。一方で、直営店舗は4店舗増えて62店舗となっています。

法人契約は、比較的大型の契約も獲得でき、前期と比べると4.6%の減少ですが、結果として当初の予想を十分上回ったと思っています。

ソリューション事業売上高

ソリューション事業は2部門あり、1つはFC部門といい、『保険クリニック®』のフランチャイズの運営を管理してる部門です。現在、フランチャイズは200店舗となっており、いわゆるスーパーバイザーが支援を行う等の業務を行っています。こちらも対前期比で16.3%増加となっています。最近では、異業種(携帯ショップや自動車ディーラー)の参入が増えている点が特徴となっています。もう一つの部門は、AS部門といい、当社が独自開発したシステムを金融機関や保険代理店を中心にサブスクリプション方式で提供しています。特に、地方銀行が当社のシステムを利用いただいており、現在36行(全国の3割強の銀行)が当社のシステムを導入しています。また、金融機関向けのOCRの販売もAS部門が行っており、そちらも好調に推移しており、対前期比で18.9%の増加となりました。

システム事業売上高

「スマートOCR®」については、後ほど詳しく説明しますが、この技術を官公庁や民間企業に多く提供しています。OCRの技術はデジタル化に向ける、いわゆる入り口の部分であるため、各社から多くのお問い合わせをいただいています。現在、だいたい1ヶ月500社程度からお問い合わせをいただいていますが、全て対応できているわけではないため、今後この事業の拡大もしっかりとやっていきたいと思っています。

また、「DenHo®」という当社独自の電子帳簿保存のクラウドサービスも提供しています。こちらも問い合わせ件数が増えている状況です。売上高は対前期比で46.2%増加で、10億300万円というところまで上昇してきています。

AI-OCRとは

AI-OCRというのはご存知の通り、OCRの技術にAIを搭載させることで、AIが自動でいろいろなものを判別します。AIがデータ化して、それらを転送するサービスです。

『スマートOCR®』の収益構造・導入事例

OCRの売上に関しては、非常に分かりにくいというお声もあったので、スライドにまとめました。

クラウドサービスで提供を受け、ダウンロードをして簡単に使えるOCRは、月額の定額制でサブスクリプションのCF構造が成り立っています。

2つ目の重量課金は、リカーリングシステムの収入になっており、当社の導入例を挙げますと、みずほ銀行さんのエンドユーザーさんがご利用いただくと課金されるという仕組みになっています。3つ目は個別開発で、OEM提供ということになります。当社でいうと、国税局、統計センター、法務省、埼玉県警が当てはまりますが、開発後の3年間はサブスクリプションで収益を頂戴するという仕組みになっています。このような仕組みでシステム事業は収益を作っています。

部門別売上高(フローストック比率)

当社は各事業部ごとにフローストック、特にストックのところに力を入れています。例えば、保険販売事業は全体売上の約156%がストック、残りの85%がフローの収益となっています。ソリューション事業の場合、システムを提供し、サブスクリプションで収益を稼いでいます。そのため、ソリューション事業でもAS部門に至っては、約70%強がストックからの収益が発生しており、FC部門においても、約40%程度がストックからの収益で積み上がっています。さらに、システム事業もかなり力を入れており、いわゆるSaaS的な事業となっており、構成比は約65%がストックからの収益となっています。その結果、当社全体で見るとフローの収益は62.6%、残りの37.4%はストックから発生してる収益であるため、このストック部門を確実に伸ばしていこうとしています。

セグメント別売上高

2024年6月期は、このような予想を立てています。売上高は75億2,400万円、対前期比で25.3%の増加、保険販売事業はM&Aもありましたので、大幅に増加する予定になっています。対前期比で 35.5%増加の42億7,700万円、さらに直営事業部も少しずつですが集客が改善していますので、こちらも大幅に増加する予定としています。ソリューション事業は、19億6,700万円で6.6%の増収を見込んでいます。また、システム事業も好調に推移すると予想しており、12億8,000万円、27.6%の増収を見込んでいます。

企業テーマ

当社の企業テーマは「人と保険の未来をつなぐ~Fintech Innovation~」で、保険事業は人と人のつながりが非常に強い事業であり、当社はそこにデジタルを導入することで、より顧客サービスを充実させていこうと取り組んでいます。現在、生命保険契約は年間で2,000万件販売されていますが、これら全てにもかかっていけるような会社になっていきたいと思っています。全ての保険を当社が販売するのは難しいことだと思っていますが、システムを通じて保険選びの一環をお手伝いできたら、またアフターコロナもお手伝いできたらと考えています。

証券コード

当社の証券コードは「7325」です。今後も引き続き、アイリックコーポレーションをご支援ご鞭撻頂ければ、非常に幸いです。ご清聴いただき、ありがとうございます。

質疑応答

質問①:保険の窓口など、同業他社が多いイメージがあります。かつ、飽和状態のような気がしますが、同業他社との合併やM&Aのお考えはありますでしょうか。

 

勝本:今保険ショップが2,000件ぐらいあると言われていますので、いろいろな地域に保険ショップが増えてきたと思っています。ただ、当社自体はまだ260店舗程度ですので、エリアによってはまだ出店しきれていないエリアもかなりたくさんあると思っています。なので、やはり他社が出店していても、当社にとっては新しいマーケットということになりますので、比較的新規出店は好調に推移すると考えています。

M&Aに関しては、今回も12店舗の店舗運営と90名程の訪問型の社員さんを抱えている会社をM&Aさせていただきました。今回は新潟を中心とした代理店なので、我々とあまりマーケットは被らないです。当社としてシナジーが出るケースに関しては、今後も積極的にやっていきたいと考えています。

 

金融アナリスト 三井 智映子(以下、三井):今お話しいただいたのは、株式会社ライフアシストさんの子会社化についてという認識でよろしいですか。

 

勝本:はい、そうです。

 

質問②:2023年8月14日に開示されている株式会社ライフアシストの子会社化について、シナジー効果や狙いなどを教えてください。

 

勝本:コロナの影響で来店ショップは痛手を被ったのですが、実はお客様の方に直接販売する訪問型というのは比較的影響を受けなかったというのが理由にあります。当社は訪問型の部門を今まであまりやってこなかったため、弱い部門の一つであったと思います。そういう意味では、今回株式会社ライフアシストの株式を取得できたことで、新たに新潟のエリアも開発できましたし、また訪問型のノウハウも共有できると考えています。

 

質問③:買収された株式会社ライフアシストさんはオリックス生命保険株式会社の連結子会社とのことですが、そこにしがらみなどはないですか。

 

勝本:株式会社ライフアシストはオリックスさんの子会社ということで、もしかしたらオリックスさんの商品を売らなければいけない立場にあったかもしれませんが、当社の方がオリックスさんから株式を購入させていただいたので、逆にしがらみが全くなくなったと言ってもいいかと思います。

 

質問④:保険IQシステムとはお客さんの情報を認識すれば、自動的に最適な保険を選んでくれるという認識でよろしいでしょうか。

 

勝本:お客様の意向を伺って、その意向に合った商品だけが集まるようになっています。保険は人と人のつながりが強いので、どうしても属人的なところから抜け出せず、例えば、お客様が同じことをAさんとBさんに伝えても、違う商品が出てくる可能性はゼロではありません。それに対して、システムで入力していくことで、どの店舗に行っても同じ商品が推薦されるため、そういった意味ではお客様にとっては満足度が高くなる理由のひとつだと思っています。

 

三井:そのシステムを利用させていただいたことがあるのですが、将来自分がどのような収入が欲しいか、どういった保険を求めているか、ライフプラン等も聞きながら、カウンターにいる担当者の知識に左右されることなく、システムによって適した保険を提案していただけるというイメージでよろしいでしょうか。

 

勝本:そうですね。お客様の考えはコンサルティングを受ける中で変わることもあるため、コンサルティングでは人間がアドバイスをして、最終的に商品を選ぶところにおいては、お客様が一番求めている商品の中でより選択肢が広がって、さらに絞り込んで選ぶこともできる点がシステムの強みだと思っています。そういう意味では、人とシステムのどちらも必要だと思います。

 

質問⑤:意外と対面での取引はコロナ以前に戻っていないのですね。戻る見通しは立っているのでしょうか。

 

勝本:正直な話をすると、2022年のゴールデンウィークが明けたくらいから来店客数はかなり戻ってきています。ただ、Webは前年対比で伸びているので、Webで予約して来られる方は非常に増えているイメージです。一方で、「ショッピングモールに来たから立ち寄ったわ」という人は、まだまだこれから伸びてくると考えています。

 

三井:プラスに捉えるとまだ伸びしろがあるということでしょうか。

 

勝本:そのように思っています。

 

質問⑥:顧客満足度を高めるために一番大切にされていることは何ですか。

 

勝本:いろいろありますが、社員教育の徹底です。特にお客様に対するヒアリング力、いわゆる傾聴力を高めてお客様の話をしっかりと聞くことができるための教育をしています。押し売りになってはいけないと思っているので、お客様が求めるものをご説明できるような体制作りが非常に重要だと考えています。お客様の満足度を高める要素はいっぱいあると思いますが、一つ一つ確実にやっていくということが大事だと思っています。

 

質問⑦:直近で気になるところはFC退店が引き続き止まらないところです。出店事業者の体力によって入れ替えがあり、共鳴から時間が経過していると思います。まだ退店は続きますか。アイリック社としてFC事業の魅力向上についてはいかがですか。

 

勝本:退店については、確かにここ数年はコロナの影響で、3年間耐えることができなくなっているのが現状です。体力のない代理店さんは残念ながら退店となり、当社もいろいろ努力をしながら、Webからの送客もかなり増えていますが、まだまだ追いついていないと実感しています。ただ、今回CMにかなりの資金を投下したり、フランチャイズの皆さんとも盛り上がっていこうという動きはかかっているので、一定程度、退店も止まってくると思っています。

一方で、最近では異業種の体力のある会社が参入してきているので、そういう意味では売上をしっかりとお手伝いできるような体制を作っていくことで、フランチャイズの発展もあるのではないかと考えています。

 

質問⑧:1995年7月に設立された創業社長でいらっしゃいますが、どのような思いでビジネスを始められましたか。

 

勝本:実は、私は外資系の保険会社に勤務していて、富裕層向けのプランニングといった仕事をしていました。そんな中、1995年の少し前ぐらいに気がついたことがあり、「保険事業とは富裕層のためにあるわけではなく、どちらかというと一般の消費者の皆さんのためにあるのかな」と。当時は、複数の保険情報を提供するサービスはなく、一般の多くの消費者の皆さんに提供でき、また選べる場所があればいいかなと思い、保険ショップの設立に踏み切ったのが1999年になります。元々、私は保険そのものにそこまで興味はなかったのですが、外資の保険会社と縁があって入社したことで、この業界は面白い業界で、非常にマーケットが大きいですが、とても古い業界と言いますか、何か変わらなければいけないという思いがありました。

 

質問⑨:女性が活躍できる企業とのことですが、女性の役員登用など具体的な取り組みがあれば教えてください。

 

勝本:当社は部長職の半分近くが女性ということで、非常に活躍

する場がある会社になってきたと思っています。残念ながら、まだ役員に女性が入っていないということもあって、今後新しい取り組みやご意見も取り入れていきたいという中で、やはり女性の登用は非常に必要だと考えています。

 

質問⑩:IR活動に対するお考えをお聞かせください。

 

勝本:基本的には何も変わっていないと思ってはいますが、確かにコロナの影響もあったので、毎回対面のセミナーを開催するのは難しかったり、Zoomで画面越しになると思ったことが伝えられなかったりすることもありました。ただ、基本的にIR活動はもっと実施したく、思っていることをしっかりと皆様に伝えていけたらと考えています。

 

質問⑪:自社株買いについてお教えください。

 

勝本:半年前(2月)に、最初は50万株ということで4億円を上限とした自社株買いを発表させていただきました。皆さんの一定の支持もいただけたと思っていますが、結果として、半年間で目標の50万株には到達しませんでした。30万株で終わったのですが、これは非常に難しく、当社が「今日買ってください」と指示を出すと相場操縦になってしまうことから出来ないので、証券会社に資金を渡して、証券会社の判断で相場が崩れないように毎日少しずつ買っていくというやり方になります。半年間やっていただいた結果が30万株だったので、会社側としてはもともと株主の皆様に50万株とお約束をさせていただいたことから、「買いきれなかった20万株については、追加で購入します」と、この間の発表につながってます。

 

質問⑫:下方修正が2期、3期と続いていますが、どのように決算予想を組み立てているのでしょうか。

 

勝本:前々期はやはりコロナの影響が想定以上にあったと思いますが、前期に関しては3カ年の1年目ということで、投資(CM等)をしていくと当初発表させていただきました。CM等でもコストを使いましたが、CMを打ったからといってすぐに収益が増えるかというとそうではありません。2回に分けてプロモーションを行う中で認知度は確実に上がったと思っており、ホームページの閲覧数がいきなり倍になる等、結果として出てきているので、少しずつ消費者の皆さんの耳に『保険クリニック®』が残ってきているのかなと感じています。その中で保険の見直しをしようかなと思う人が『保険クリニック®』を思い出していただけると集客数に繋がってくると思っています。今は特に、テレビという大規模なものよりも、YouTube等を含めたwebを使っていきながら、少しずつしっかりと浸透させています。前期に使ったコストに見合うだけの集客にはまだ繋がってはいないので、その結果、想定よりも売上が伸びきらなかったと感じています。認知度をあげたいという思いもあったので、コストは広告費に多めに使いました。今期以降、売上に結びついてくれば、一つの結果が見えてくると思っています。

 

質問⑬:もっとスマートOCR®について詳しく伺いたいです。目標とする売上の数字はあるのでしょうか。

 

勝本:もちろん社内的には、これぐらいの規模という目標はあり、どんどん伸ばしていきたいと思っています。前期は約45%増収しており、来期の目標も28%くらい伸びると想定しています。私たちが感じているのは、企業のデジタル化が一気に進んでいるかというとそうではないと捉えており、そういった中でOCRの技術は必要不可欠であると思っています。官公庁含めて、民間でも大企業が動き出していると肌感として受け止めており、市場性は非常に広い事業だと思っています。当然、競合となる会社が多く存在することは認識していますが、当社の強みであるスマートOCR®の技術は、かなり精度も上がってきており、手書き文字の読み取り技術も上がっています。今後のマーケットでの拡大は、私たちも期待している部分です。

 

三井:スマートOCR®の技術において、官公庁から御社のシステムの引き合いがあることの優位性や今後の見通しについては、さらに拡大していく余地が大いにあるという認識でよろしいでしょうか。

 

勝本:官公庁は全て入札で、まず技術が評価されなければ、金額の入札まで進むことはできません。官公庁については、入札するのはまだ数社程度で、比較的取りやすい環境にあると思っています。企業についても、最近は当社も営業力をかなりつけており、大手企業との取引が始まっています。あとは、現在おそらく月間で500社ぐらいの問い合わせがあるので、それらを形にするために技術者の確保といった人材投資がこれからはかなり必要になってくると思っています。

 

質問⑭:スマートOCR®について、法務省や国税庁以外の省庁にも広げていくお考えはありますか。

 

勝本:もちろんです。発表の許可が出るところと出ないところとありますが、多くの省庁に広がっていくと思っています。

 

質問⑮:社員教育で力を入れてる分野と競合他社についてのお考えをお聞かせください。

 

勝本:社員教育に関しては、当社には教育部という現場的な部分を教え込んでいく部署があり、それ以外の総務・人事では管理職を育てるための教育をする等、各部門ごとに教育の機関を作っています。競合他社においても、教育はされておられるかと思いますが、私は現場教育が非常に多いと受け止めています。競合間で人材の動きもあると感じており、現在当社も人材の募集をかけていますが、競合他社から来る方が増えました。ここ半年ぐらいで急に雰囲気が変わってきたと思っています。『保険クリニック®』を知っていただいて、選ばれる会社になりたいという思いはあります。

 

質問⑯:ROEについてのお考えをお聞かせください。

 

勝本:今年に関しては、投資を徹底して行っていくという考えであるため、利益を見ていくというよりもどちらかというと、「しっかり投資をして、将来に結びつけたい」という1年だったので、今の時点ではROEについてそこまで気にしていません。

 

質問⑰:ここ数年は利益が下がっていますが(先行投資で下がっているかと思いますが)、利益率はコントロールできています

 

確かに少し想定を外してしまったということはありますが、前期に3億5,000万円程度、広告費を増やしているので、私たちの中では広告そのものが前期の売上に直接つながっていないということを考えると、それなりの営業利益を出そうと思えばもちろん出していたんだろうと思っています。ただ、それが今期や来期以降につながるかというと、やはり投資をしていかなければつながっていかないと思っています。これが将来に結びつくための投資であると私たちは思ってやっています。そういう意味では、コントロールという言い方がいいのかどうかは別として、私たちが把握できている中では推移していると思っています。

CMに関しても、前期は大規模プロモーションといった形で、とにかく『保険クリニック®』のブランドをあげていこうということだけをやってきましたが、今期に関してはもっと直接集客に繋がっていくような広告等を強くやっていきたいと考えています。3カ年の2年目で、広告の効率化にトライしていきたいと思っています。

 

質問⑱:業界の今後の成長性と勝本社長の思う10年後の御社のビジョンを教えてください

 

勝本:業界全体で言うと、保険業界では成長性がない等とあまり良く言われておらず、成熟産業なのかなと思います。ただ、年間の保険料は28兆円もある産業で、税収で言うと皆さんは消費税よりも保険料の方を多く払っているというような国でもあります。保険は年間で2,000万件も売れていますので、日本の人口が1億2,000万人とすると、6人に1人が新たに保険加入しているという状況です。やはり時代に合った商品が確実に求められており、例えば、今はアメリカの金利が高いので資産性の高い、いわゆる外貨建ての商品の利回りがとても高いです。10年置いておくと1.5倍になってしまうので、銀行に100万円預けるのであれば、こちらに切り替えるという人が非常に増えています。これは今の時代の一つの流れだと思います。その時代の商品は今後も開発されていきますし、確かに人口減少で減っていくことは間違いないと思いますが、新たな商品に加入して、今の流れに合ったものに変えるというのが主流になっていくだろうと思います。

10年後のビジョンについては、当社は保険事業としては他社と比べてもそんなに大きくはないので、伸びる余地が十分あると思いますが、保険事業をしっかり伸ばしていきながら、当社の強みであるソリューション事業やシステム事業のシェアを10年後まではかからないと思っていますが、まず50%まで持っていくことだと思っています。先ほど、フローストックのお話をさせていただきましたが、ソリューション事業とシステム事業はストックが強く、収益力が高いので、保険事業は成長性がある中で成長していきながら、ソリューション事業やシステム事業をさらに大きく伸ばしていきたいと思っています。当社の企業テーマに「人と保険の未来をつなぐ~Fintech Innovation~」とあるように、加入する時も保険金を受け取る時も何らかの形で私たちが皆さんのお手伝いができるような体制を作っていきたいと思っており、10年後には保険を販売する会社ではなく、保険全体をソリューションできるような会社になっていたいと思っています。

歴史はそこそこある会社ですが、当社はまだベンチャー企業だという意識を持っています。保険事業もこれから変わっていきますし、ソリューション事業やシステム事業を伸ばしながら、この業界全体をさらに良くしていきたいと思っています。まだまだ小さな会社ですが、ぜひ今後の成長に期待していただけたら、非常に嬉しく思います。これからもよろしくお願い致します。

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